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優雅な生活が最高の復讐である
¥2,200
文庫判上製 縦156mm 横113mm 248ページ 【紹介】 1920年代のフランスに信じ難いほど素敵な生活を営むアメリカ人夫婦がいた。 ジェラルド・マーフィとサラ、二人はパリからアンティーブへ生活の舞台を移し、近郊に住むアーティストや作家、たとえばピカソ、レジェ、コール・ポーター、ヘミングウェイ、フィッツジェラルドとゼルダ夫妻など時代を画する才能をもてなし、その創作活動に多大な影響を与えた。そしてマーフィ自身も画家だった。活動期間はたった8年間であったが、わずかな、しかし素晴らしい作品がMoMAに遺されている。 本書はこのマーフィ夫妻の生活を見事に掬い上げ、ノンフィクションの分野に金字塔を立てたカルヴィン・トムキンズのテキストに、70点近くの家族アルバムとジェラルドの絵画を加えた。 雑誌「ニューヨーカー」初出から60年を経て放つ歴史的名著の決定版! 【著者プロフィール】 カルヴィン・トムキンズ(著/文) 1925年、ニュー・ジャージー州生まれ。48年、プリンストン大学卒業。雑誌「ニューヨーカー」のスタッフ・ライターとして活躍し、主にアート関係の文章を手がける。“カルチャー・シーン通”の異名を持ち、本書の他にも『マルセル・デュシャン』、『花嫁と独身者たち』、『ザ・シーン――ポスト・モダン・アート』などの著書がある。 青山 南 (翻訳) 1949年、福島県生まれ。翻訳家、エッセイスト。訳書に、フィッツジェラルド『ゼルダ・フィッツジェラルド全作品』(共訳)、ケルアック『オン・ザ・ロード』、ディディオン『ベツレヘムに向け、身を屈めて』、ロス『ゴースト・ライター』など多数。著書に、『南の話』、『アメリカ短編小説興亡史』など多数。
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懐郷
¥3,080
部落の中の様々な権力関係、先祖代々の恨み、階級、ジェンダー、そして深刻な家庭内暴力……台湾原住民族に対して与えられがちな〈ユートピア〉的なイメージを打ち破り、タイヤル族のひとりの女性、懐湘の一生を通して、原住民の山地社会における生活の実相を初めてあからさまにした長編小説。 目次 序 稜線上のタイワントドマツ 親愛なる日本の読者のみなさまへ 関連地図ほか 凡例 秘密基地 清流園の花 結婚 山の生活 山を下りる 逃げる 俗世を生きる 家庭の夢 『懐郷』——タイヤル女性懐湘はどう生きたか 魚住悦子
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アンソロジスト vol.6
¥880
田畑書店「ポケットアンソロジー」シリーズと連動する季刊ベース誌の第6弾! 今号の特集は〈川柳〉。短歌など他ジャンルからの越境もあり、空前のブームが到来しつつある川柳。現代の川柳を牽引する5人の柳人に、「みずうみ」をテーマに20句を詠み下ろしていただくという豪華な企画。また太田靖久、小津夜景、山本アマネ、片上長閑など、連載陣の活躍も目覚ましい最新号。 目次 【特集】川柳アンソロジー みずうみ 永山裕美 序文 なかはられいこ 水の骨組み 芳賀博子 襖はずして 八上桐子 ほとり 北村幸子 雫する楽器 佐藤みさ子 空うつす 樋口由紀子 [解説]川柳のたくましさ 岸波龍 ●特別寄稿●わたしたちがいま川柳に夢みていることについて 【短篇小説で一服】 山本アマネ シュテファン・ツヴァイク『書痴メンデル』 【存在のためのふわふわした組曲6】 小津夜景 夜を知る 【書下ろし短篇小説】 太田靖久 カラスの味 【不定期連載】 渡辺祐真 物語の読み方講座(一) ●PAエッセイ● 谷川嘉浩 「くそつまらない未来」を遠ざける方法 角南範子『アンソロジスト』から生まれた文章講座開催レポート 片上長閑 新時代 【書評】井伏鱒二著 ウィリアム・I・エリオット/西原克政訳『対訳 厄除け詩集』 〈書肆 海と夕焼〉柳沼雄太 humorからの逸脱、そしてポエジーへ 編集後記
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川端康成の話をしようじゃないか
¥1,980
小川洋子 佐伯一麦 著 四六判 184ページ 上製 定価 1,800円+税 ISBN 978-4-8038-0413-3 【紹介】 あまりに哀しく、あまりに美しい(=グロテスク)……こんな川端康成の姿を私たちは知らなかった! 没後半世紀を経て、いまなお読み継がれる川端文学の魅力を二人の作家が語り明かす。長く深く愛読してきた作家ならではの分析と考察は、従来の川端文学の読まれ方をアップデート。五十一回目の命日に贈る「川端康成・讃」 【目次】 対話Ⅰ 川端文学を貫いているもの 川端康成と伊藤初代 川端文学との出会い 「手書き」独特のアナグラム 川端文学のグロテスクさ 「佛界易入 魔界難入」 「死」に魅入られて 対話Ⅱ 『掌の小説』を読む 川端康成の「私」 確かな〝モノ〟の手応え 「長編型」と「短編型」 「負のエネルギー」が作り出すブラックホール 「十六歳の日記」について グロテスクと新しいリアリズム 対話Ⅲ 世界はまだ本当の川端康成を知らない 「雪国抄」が語りかけてくるもの 川端康成は「小説」を書いていなかった!? 『山の音』について。あるいは「純文学」とは何か 川端作品のベストは何? 附 見えないものを見る──「たんぽぽ」小川洋子 遵守された戒律 佐伯一麦 引き返せない迷路 小川洋子 川端再読 佐伯一麦 あとがき 小川洋子/佐伯一麦 【著者プロフィール】 小川 洋子 (オガワ ヨウコ) 1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。 佐伯 一麦 (サエキ カズミ) 1959年、宮城県生まれ。84年、「木を接ぐ」により海燕新人文学賞、91年、「ア・ルース・ボーイ」で三島由紀夫賞、「遠き山に日は落ちて」で木山捷平文学賞、『鉄塔家族』で大佛次郎賞、『山海記』で芸術選奨・文部科学大臣賞文学部門を受賞。ノンフィクションに『アスベストス』、エッセイに『Nさんの机で ものをめぐる文学的自叙伝』などがある。
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台湾原住民文学への扉
¥9,900
A5判 592ページ 上製 定価 9,000円+税 ISBN 978-4-8038-0407-2 【紹介】 1980年代末に民主化運動の波のなかから生まれた台湾原住民文学。漢人、そして日本人からの支配によって歪められてきた原住民の悲しみと秘められた豊かさに真正面から向き合い、90年代はじめから30年追い続けてきたこの分野の第一人者が、これまでの研究成果をまとめた本邦初の台湾原住民文学研究書! 【目次】 台湾および台湾原住民族関係地図 凡例 はじめに Ⅰ ふたつの物語──「サヨンの鐘」と「義人呉鳳」 第一章 「サヨンの鐘」物語の生成と流布過程 第二章 日本から逆輸入された『サヨンの鐘』の物語 ──中央舞台の台湾上演と呉漫沙の『サヨンの鐘』 第三章 物語の終焉──映画と教科書の「サヨンの鐘」 第四章 各種『サヨンの鐘』の検討──劇本・小説二冊・シナリオ・教科書 各種『サヨンの鐘』対照表 第五章 連結する帝国の物語と「届かない」帝国の物語──呉鳳伝説・霧社事件・『サヨンの鐘』の検証 「サヨンの鐘」関係文献について 【参考資料一】「サヨンの鐘」関連地図 【参考資料二】「サヨンの鐘」関連記事 一九三八年―一九四三年 【参考資料三】「サヨンの鐘」関連年表 一九一三年―一九四五年 第六章 「義人呉鳳」の誕生地・諸羅県(嘉義)──呉鳳物語の生成 「呉鳳伝説」関係文献について Ⅱ 台湾原住民文学の世界 第一章 台湾原住民文学序説 第二章 台湾原住民文学とはなにか トパス・タナピマ小伝 第三章 日本における台湾原住民文学研究──翻訳・出版と書評を中心に 第四章 台湾原住民文学をめぐる原住民知識人の言説 第五章 「歴史」のなかに生きるための戦略的台湾原住民文学論──孫大川(パァラバン・ダナパン) 著『台湾エスニックマイノリティの文学論 山と海の文学世界』 アタウ・バラフの風刺詩 第六章 台湾原住民文学に描かれた女性像──原住民女性は「可視化」されてきたか 第七章 日本における台湾原住民文学の受容 Ⅲ 台湾原住民文学点描 第一章 霧社からのまなざし 一、霧社事件七〇周年と台湾九二一大地震 /二、埔里からのまなざし / 三、誇り高きセイダッカとタナトゥヌ /四、台湾からの手紙 / 五、『風中緋桜』のテレビドラマ化に期待する /六、「ガヤ」回復への歩み / 七、山部歌津子『蕃人ライサ』に描かれた「ミカの悪夢」 /八、佐藤春夫と台湾原住民族 第二章 山海の世界 一、簇出する海と山の文学 /二、翻訳で読む台湾原住民文学 / 三、「孫大川の台湾原住民文学論」研究 第三章 山地の文学 一、〝台湾原住民文学〟最前線 /二、アワ文化と狩猟生活 / 三、原住民族の近現代史を、「原住民の視点」から明らかに 第四章 海洋の文学 一、大きく姿をあらわすシャマン・ラポガンの海洋文学 / 二、浮かびあがるシャマン・ラポガンの海の文学 第五章 女性たちのまなざし 一、台湾のアイデンティティを問い直す台湾原住民女性文学 / 二、リムイ・アキの『懐郷』を読む 第六章 事件・戦争 一、原住民作家のパタイが描いた琉球人遭難事件 / 二、王幼華著・石其琳訳『土地と霊魂』 /三、『フォルモサに咲く花』の世界 【参考資料四】台湾原住民族関連憲法 【参考資料五】台湾原住民族一六族人口統計表(二〇二二年) 台湾原住民文学年表 一九四五―二〇二二 初出一覧 あとがき 著者プロフィール 下村 作次郎 (シモムラ サクジロウ) (著/文) 1949年和歌山県新宮市生まれ。関西大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現任、天理大学名誉教授。 1980年8月から2年間、中国文化大学交換教授。 2000年9月から半年間、国立成功大学台湾文学研究所客員教授。著書に『文学で読む台湾 支配者・言語・作家たち』(田畑書店、1994年)、『よみがえる台湾文学』(共著、東方書店、1995年)、『台湾文学研究の現在』(共著、緑蔭書房、1999年)、『台湾近現代文学史』(共著、衍文出版、2014年)、『台湾文学の発掘と探究』(田畑書店、2019年)、資料集『日本統治期台湾文学台湾人作家作品』(共編、全五巻・別巻、緑蔭書房、1999年)など。翻訳書に呉錦発編著・監訳『悲情の山地 台湾原住民小説選』(田畑書店、1992年)、『台湾原住民文学選』全9巻(共編訳、草風館、2002年~2009年)、孫大川著『台湾エスニックマイノリティ文学論 山と海の文学世界』(同、2012年)、シャマン・ラポガン著『空の目』(同、2014年)、同『大海に生きる夢 大海浮夢』(同、2017年)、陳芳明著『台湾新文学史』(共訳、上・下、東方書店、2015年)、陳耀昌著『フォルモサに咲く花』(東方書店、2019年)、ワリス・ノカン著『都市残酷』(田畑書店、2022年) 他がある。
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台所と診察室のあいだで
¥1,650
四六判 224ページ 並製 定価 1,500円+税 ISBN 978-4-8038-0412-6 【紹介】 大切なものを遺してくれた父と母、仕事をもつ主婦という同じ立場で心が通いあった義母、そして長年連れ添い最後を看取った夫。開業医としてのキャリアと家庭とのあいだで過ごしてきた日々がいま静かによみがえる……しみじみと心に沁みるエッセイ集! 【プロフィール】 江守 いくよ (エモリ イクヨ) 埼玉県生まれ。医学部卒業後、大学病院、総合病院等に勤務。1992年、杉並区で開業し、2015年まで地域医療に携わる。退職後、早稲田オープンスクールの「エッセイ教室」を受講する。
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波と私たち
¥1,980
四六判 256ページ 上製 定価 1,800円+税 ISBN978-4-8038-0411-9 【紹介】 家父長制のもと戦争の波に流され、戦後を生き抜いてきた〝女ともだち(シスターフッド)〟の人生の終焉(自殺)を、ヴァージニア・ウルフに重ねて描いた表題作ほか、長年連れ添った夫婦のかたちを静謐な筆致で描いた短篇群に、随筆を加える――円熟味の増した著者が達した新境地! 【プロフィール】 庵原 高子 (アンバラ タカコ) 1934年、東京市麹町区に生まれる。58年、「三田文学」に「降誕祭の手紙」を発表、翌年、同作が第40回芥川賞の候補作に選ばれる。同じく候補となった山川方夫氏と知り合い、以後師事する。61年、「三田文学」に「地上の草」を6回にわたって連載するも、その後、出産を機に家事に専念。91年、「三田文学」に作品を発表しはじめ、作家生活を復活させる。著書に『姉妹』(97年、小沢書店)、『表彰』(2005年、作品社)、『海の乳房』(2013年、作品社)、『庵原高子自選作品集 降誕祭の手紙/地上の草』(2018年、田畑書店)、『商人五吉池を見る』(2020年、田畑書店)、『ラガーマンとふたつの川』(2022年、田畑書店)、がある。
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短歌で読むベンヤミン
¥1,760
田畑ブックレット 短歌で読むベンヤミン 山口 拓夢 著 A5判 176ページ 並製 定価 1,600円+税 発売日2023年3月8日 紹介 理想家は本が出されたその日から共同体の実現を見る フーリエ論 『パサージュ論』第4巻回想は過去の記憶に果てしなく書き込みをする幾重もの襞 『ベルリンの幼年時代』 法律は歴史の上で成り立った合法的な暴力を許す 『暴力批判論』 近代は民衆側の暴力を原則的に全否定する 『暴力批判論』 『複製技術時代の芸術』でアヴァンギャルドの意義を知らしめ、『パサージュ論』で消費社会の本質と資本主義の限界を予見し、一身に全体主義やファシズムと戦った20世紀文化批評の巨人ベンヤミン。今まさに読み継がれるべき彼の思想と著作群を、短歌とおなじみの名解説でしみ込むように読ませる、理解できる、楽しめる、大好評〈短歌で読む〉シリーズ第4弾! 目次 はじめに 第一章ベンヤミンの揺籃期 『ベルリンの幼年時代』 一九〇〇年前後のベルリンにおける幼年時代 「ベルリン年代記」 『言語と社会』 言語一般および人間の言語 「言語社会学の問題」 模倣の能力について 『ドイツ・ロマン主義』 「ドイツ・ロマン主義における芸術批評の概念」 第二章 ベンヤミンの代表作 『ゲーテ 親和力』 「ゲーテの『親和力』について」 『ドイツ悲劇の根源』 認識批判的序論 バロック悲劇とギリシア悲劇 寓意と近代悲劇 『暴力批判論』 「暴力批判論」 『一方通交路』 「一方通交路」 給油所/朝食の部屋/地下室/玄関/食堂/貴顕向き住居部屋数10・高級家具完備/籏/公認会計検査官/切り抜き絵/非売品/貨物発送と梱包/物乞い、押し売り、お断り/イタリア語話します 第三章 ベンヤミンの芸術文化論 『複製技術時代の芸術』 「複製技術の時代における芸術作品」 「写真小史」 『シュルレアリスム』 「シュルレアリスム」 『文学の危機』 「マルセル・プルーストのイメージについて」 「フランツ・カフカ」 第四章 パサージュ論 『パサージュ論』第1巻 十九世紀パリのパサージュ/消費社会の夢/遊歩者の視線/資本主義のユートピア 『パサージュ論』第2巻 収集家/室内、痕跡/ボードレールと十九世紀後半のパリ/ボードレール文学の特性/魔性と幸福/ボードレールの流儀 『パサージュ論』第3巻 集団的な夢としてのパサージュ/夢の家/遊歩者の考察/街路を家とする人々/街の無意識 『パサージュ論』第4巻 サン=シモンへの眼差し/サン=シモンの社会主義/サン=シモンと産業システム/サン=シモンの見た夢/フーリエ論/マルクスについて 『パサージュ論』第5巻 ドーミエ論 /文学史、 ユゴー/複製技術、リトグラフ/セーヌ河、最古のパリ/閑の特徴について 「歴史哲学テーゼ」(ベンヤミン著作集1より) あとがき 参考文献
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アンソロジスト vol.4
¥880
A5判 60ページ 中綴じ 縦210mm 横150mm 厚さ6mm 重さ 71g 800円+税 ISBN978-4-8038-0408-9 Cコード C0491 2023年1月31日発売 【紹介】 田畑書店「ポケットアンソロジー」と連動する季刊誌の第四弾!今号は現代短歌作家特集。小島なお、初谷むい、東直子、平岡直子、山崎聡子の新作短歌を掲載。連載企画「娘が選ぶ父の短篇ベスト5」は「北杜夫」を紹介。書評家・スケザネ氏責任編集の頁では『新しい世代の表現者たち』として、岡本真帆、谷川嘉浩、暮田真名、梨ちゃん、齋藤明里の作品や論考を掲載します。 また今号に開催された短歌作家の作品は、ポケットアンソロジー作品リフィルとして本書と同時発売されます。 【目次】 【特集】 短歌アンソロジー あこがれ 永山裕美 序文 小島なお 「卵焼きかわいそう」 初谷むい 「笑えば翼ごと動く」 東直子 「夢と胸筋」 平岡直子 「黒百合」 山崎聡子 「宝石」 斎藤由香 娘が選ぶ父の短篇ベスト5 「北杜夫」 山本アマネ 短篇小説で一服 ナサニエル・ホーソーン「ウェイクフィールド」 増田みず子 人生に効く井伏鱒二(四) 太田靖久 書下ろし短篇小説 「嘘の顛末」 小津夜景 存在のためのふわふわした組曲4 流星の味 スケザネ図書室 by 渡辺祐真 『新しい世代の表現者たち』 谷川嘉浩、岡本真帆、暮田真名、梨ちゃん、齋藤明里、片上長閑 柳沼雄太 【書評】「優雅な生活が最高の復讐である」
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アンソロジスト vol.3
¥880
A5判 縦210mm 横150mm 厚さ6mm 重さ 71g 60ページ 中綴じ 価格 800円+税 田畑書店「ポケットアンソロジー」と連動する季刊誌の第三弾!クローズアップするのは坂口安吾。小説というジャンルの形式、手法を味わいつくした〈エピキュリアン〉としての坂口安吾。前号の太宰同様、「無頼派」と呼ばれる作家は、実は上質な作品を量産してた「勤勉な仕事人」だったことがわかります。書評家・スケザネ氏責任編集の頁では「世界から見た日本文学」を特集します。 【特集】坂口安吾の短篇小説 荻野アンナ 安吾、「村人」を描く 七北数人 坂口安吾の歴史小説&純愛小説 わかしょ文庫 坂口安吾の入り口 井上荒野 娘が選ぶ父の短篇ベスト5 井上光晴 増田みず子 人生に効く井伏鱒二(三) 独特な距離感あらわすエッセイ5選 太田靖久 書下ろし短篇小説 「流れるプール」 永山裕美 偏愛読書・2 灯の物語 山本アマネ 短篇小説で一服 セアラ・オーン・ジュエット「ベッツィーの失踪」 梅﨑実奈 くうねるあむ・3 そのときがきたら2 小津夜景 存在のためのふわふわした組曲3 白百合の岬 スケザネ図書室 by 渡辺祐真 『世界から見た日本文学』 森山恵 レディ・ムラサキ、世界へ越境する 毬矢まりえ 世界の俳句の今 エミリ・バリストレーリ 人生は森見日和 プラダン・ ゴウランガ・チャラン 世界文学としての「方丈記」 ピーター・J・マクミラン 翻訳という旅 片上長閑 歩く目 柳沼雄太 【書評】アニー・ディラード『本を書く』
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季刊 アンソロジスト 2022年 夏季号
¥1,100
A5変型判 76ページ 価格 1,000円+税 ISBN 139784803804010 CコードC0491 発売日2022年8月13日 【紹介】 田畑書店「ポケットアンソロジー」シリーズと連動する季刊誌の第二弾! 短篇小説を既存の読み方から解き放ち、新しい読み方を提案する「文化を読み換えるカルティベイト・マガジン」。 今回クローズアップするのは太宰治の短篇。いつ読んでも新しい太宰の短篇の魅力に迫ります。 また、書評家・スケザネ氏責任編集の頁では「理系と文系の狭間に生まれる文学」を、いま旬の書き手にさまざまな方向から語っていただきます。 【目次】 《特集》太宰治の短篇 木村綾子/大学生の仲間たち 人生に効く井伏鱒二 増田みず子 短篇小説で一服 山本アマネ 小説:息子の長靴 太田靖久 エッセイ:牛肉とエリンギの炒め物 水野葵以 くうねるあむ 梅﨑実奈 新アンソロジーの提案(仮) 永山裕美 書評『ポルトレ 普及版』 柳沼雄太 BLACKOUT POETRY 海の襟袖(エリザベト怜美+モノ・ホーミー) 《スケザネ図書室》理系と文系の狭間に生まれる文学 森田真生 インタビュー「文学と数学の交点」 隠岐さや香 文芸が科学と文学とに分かたれる前に 山本貴光 言葉で世界を組み立てる 川添愛 科学と文学について自分なりに考えてみた 榛葉豊 寺田寅彦「比較言語学における統計的研究法の可能性について」 松村由利子 科学者のやわらかな心 岡田基生 修羅のなぎさ――宮沢賢治のイギリス海岸 小津夜景 存在のためのふわふわした組曲 片上長閑 俳句の時間「石井露月」
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たびたびの旅
¥1,980
ポケットスタンダード たびたびの旅 安西 水丸(著/文) 文庫判上製 縦156mm 横113mm 256ページ 定価 1,800円+税 ISBN 9784803804003 Cコード C0195 2022年7月18日発売 【紹介】 仙台からオスロへ、小樽からハイデルベルグへ……根っからの自由人である著者が、仕事で、あるいは気の向くままに訪れた旅先の様子を、洒脱な文章とイラストで書き留めた〈旅絵日記〉。第二部では東京の酒場をめぐりながら、出会った人びと、起こった事柄を記す。コロナ禍で旅と酒場めぐりが叶わなくなったいま、著者の眼差しに重ねて仮想の旅に誘う一冊! 文庫判ハードカバー 256ページ(カラー挿画31点) 【著者プロフィール】 安西水丸(あんざい みずまる) 1942年7月東京生まれ。日本大学芸術学部美術学科造形卒業。電通、ADAC(NYのデザイン・スタジオ)、平凡社でADを経てフリーのイラストレーターとなる。朝日広告賞、毎日広告賞、紀文おいしいイラスト展特選、1987年日本グラフィック展年間作家優秀賞、キネマ旬報読者賞受賞。東京イラストレーターズソサエティ、日本グラフィックデザイン協会、東京タイポディレクターズクラブ、日本文芸家協会、日本ペンクラブ、各会員。著書に『アマリリス』『手のひらのトークン』『荒れた海辺』『丘の上』『アトランタの案山子・アラバマのワニ』『スケッチブックの一人旅』『青山へかえる夜』などがある。2014年、歿。 目次 第1章 遠くの町に来ています 仙台より オスロより 博多より コペンハーゲンより 松本より 小樽より ハイデルベルクより 長崎より 青函連絡船の中より ペルーより 早春のオリーブ園より 第2章 夜の街に出てみました 石段下のバーで〔代官山〕 芝居のあとの、いい酒、いい肴〔下北沢〕 美女を並べて寿司を喰う〔青山三丁目〕 トゥデイズ・フィッシュに極上の日本酒〔南青山五丁目〕 歌は世に連れ、世は歌に連れ〔六本木〕 酒がよく、メニューを見る楽しさがある〔四谷〕 女用心棒Kと飲む夜〔渋谷二丁目〕 深夜の程よいざわめきのなかで〔南青山〕 銀座の路地と俳人のママ〔銀座一丁目〕 青山のスノー・ポイント〔青山三丁目〕 川を渡ってコーヒーを飲みに行く〔市川〕 究極の夜の果て〔千駄ヶ谷〕 雨の音と酒〔日比谷〕 ガード下で偲ぶ秋刀魚の味〔日比谷〕 深夜のカレー・パーティ〔麹町〕 ワサビと小鰭が好きだ〔青山〕 学生街での正統的飲み方〔江古田〕 白い花園の夜〔渋谷〕 ひどい目に遭った蟹座でAB型の男〔銀座〕 ふぐは本当においしいか〔池尻〕 第3章 旅のスケッチを描きました ベンガラの町〔吹屋〕 雪の町、運河の町〔小樽〕 温泉と東南アジアの民芸〔河津〕 フクラギを食べに行く〔富山・氷見〕 東京から二時間のバリ島気分〔千倉〕 麦田町の隠れ味〔横浜〕 北アルプスと清流とワサビ〔安曇野〕 法善寺横丁を抜けて〔大阪〕 ハコフグを食べに西端の島へ〔五島列島〕 梁山泊に行く〔京都〕 奥伊豆の温泉郷〔伊豆大沢〕 水沢うどんと街道を歩く〔渋川〕 あとがき
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本を書く
¥1,540
2022年2月7日発売 ポケットスタンダード アニー・ディラード(著) 柳沢 由実子(翻訳) 文庫判 上製 縦156mm 横113mm 厚さ mm 重さ g ページ 価格 1,540円(税込) ISBN978-4-8038-0392-1 コードC0198 紹介 本書には「『ものを書く』ことの隠喩でもあるかのように、ときにはなんでもない、あるときには非凡な人たちの話が、小さい叙事詩のように織り込まれる」(須賀敦子/朝日新聞書評より)。 『ティンカー・クリークのほとりで』でピュリッツァー賞を受賞したネイチャー・ライティングの第一人者、アメリカの女性作家が、創作生活のすべてを象徴的な文体で記した、ものを書こうとしているすべての人に贈るバイブル。 巻末には訳者による旧版のあとがきに加え、「ポケットスタンダート版 刊行に寄せて」を収録。 また解説に鶴ケ谷真一氏「本を造る――解説にかえて」、早坂大輔氏(書店「BOOKNERD」店主)書下ろしエッセイ「書くことの真理」を収録する。 目次 第一章 第二章 第三章 第四章 第五章 第六章 第七章 索引 訳者あとがき(単行本版)柳沢由美子 ポケットスタンダート版 刊行に寄せて 柳沢由美子 本を造る――解説にかえて 鶴ケ谷真一 【巻末エッセイ】書くことの真理 早坂大輔 著者プロフィール アニー・ディラード[Annie Dillard] 1945年、アメリカ、ペンシルヴェニア州ピッツバーグに生まれる。63年、ヴァージニア州のホリンズ・コレッジ英文科に入学。大学2年のとき、教授のリチャード・ディラードと結婚。88年に、H.D.ソローの研究家であるロバート・リチャードソンと三度目の結婚。作品には本書の他に、少女時代の回想を語った[An American Childhood](1987、邦訳『アメリカン・チャイルドフッド』パピルス)、ピュリッツァー賞を受賞した[Pilgrimat Tinker Creck](1974,邦訳『ティンカー・クリークのほとりで』めるくまーる社)、[Teaching a Stone to Talk](1982年、邦訳『石に話すことを教える』めるくまーる社)、他。自然に対する深い感覚と精緻なスタイルを備えたその作品は、ヨーロッパ各国にも翻訳され、きわめて高い評価を得ている。 柳沢(ヤンソン)由実子[やなぎさわ ゆみこ] 1943年、岩手県に生まれる。上智大学文学部英文科卒業。ストックホルム大学スウェーデン語科修了。女性文学の翻訳、内外の女性事情についての評論、講演がおもな活動。著書には、ヤンソン由実子名義で、『男が変わる──スウェーデン男女平等の現実』(1987、有斐閣)、『女たちのフロンティア』(1993、フレーベル館)、『シリーズ・変貌する家族──家族に侵入する社会』(1992、共著、岩波書店)など。訳書には、アニー・ディラード『アメリカン・チャイルドフッド』(1992、パピルス)、アリス・ウォーカー『カラー・パープル』(1985、集英社)、同『喜びの秘密』(1995、集英社)、アウンサンスーチー『自由』(1991、集英社)、その他、児童文学、推理小説などもある。
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谷崎潤一郎と中国
¥2,200
エキゾティシズムからノスタルジアへ! 〈中国〉を題材とした作品についての綿密な調査と精緻な読みによって、谷崎文学に底流する主調音を見事に説き明かした出色の論考。谷崎研究の第一人者千葉俊二早稲田大学名誉教授推薦! 目次 序章 谷崎潤一郎の中国旅行とエキゾティシズム 第一章 風景のなかの女 ──「 西湖の月をめぐって」── 一 「青磁色の女」と西湖の景観構造 二 〈青磁色の女〉 三 ミッション・スクールの女学生 第二章 谷崎潤一郎が中国へ投射したもの ──「 天鵞絨の夢を視座にして」── 一 ハードン夫婦 二 佐藤春夫「指紋」とボードレール『人工楽園』 三 ゴーチエ「クラリモンド」 第三章 「風流」な文学者 ──「蘇東坡(三幕)─或は「湖上の詩人」」論── 一 『西湖佳話』「六橋才迹」との比較 二 検閲の視点から読む「蘇東坡」 三 佐藤春夫の 「風流」観と「鮫人」を手掛りとして 四 「風流」を乗り越える試み 第四章 西洋芸術と東洋芸術との統合の試み ──「 鮫人に」おける〈浅草オペラ〉── 一 「鮫人」と「真夏の夜の恋」 二 林真珠の造形 ──原信子との関わりを中心に 三 北斗劇団をめぐって 第五章 十年一覚揚州夢 ──「 鶴唳」論── 一 佐藤春夫と小田原 二 「梅崖荘」「鎖瀾閣」と西湖 三 鶴と揚州 第六章 谷崎潤一郎と田漢について ── 戯曲を中心に── 一 「虎を獲る夜」と「昼飯の前」について 二 「湖上的悲劇」をめぐって 第七章 女と蛇 ──谷崎潤一郎「蛇性の婬」田漢「白蛇伝」をめぐって── 一 谷崎潤一郎「蛇性の婬」 二 女と蛇 三 田漢「白蛇伝」 第八章 エキゾティシズムからノスタルジアへ ── 二度目の中国旅行をめぐって── あとがき 初出一覧 【著者】 林茜茜(リン センセン/LIN Qianqian) 1985年、中国浙江省生まれ。四川外国語大学日本語学院、 北京外国語大学日本学研究センター修士課程、 早稲田大学大学院教育学研究科博士課程を経て、早稲田大学で博士(学術)を取得。専攻は日本近代文学、比較文学。 現在、中国上海にある同済大学外国語学院に勤めている。 論文に「江戸川乱歩による中国探偵小説の紹介――ロバート・ ファン・ヒューリック (高羅佩) をめぐって」 ほかがある。
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精進百撰
¥3,080
心筋梗塞で倒れ心臓の3分の2を壊死し失った著者。病身に適した食生活を求めたとき、蘇ったのは少年時代禅寺の侍者として触れた精進料理の世界であった…。 本書は水上勉がすべての料理を手がけ、器は北御牧在住の陶芸家角りわ子が制作した。 今回全写真をリフレッシュし、料理とそれを盛る器の魅力がいっそう楽しめるようになりました。 誰でも何歳からでもここから始められる、精進料理入門の名著復刊。
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浮寝鳥
¥1,980
四六判 縦190mm 横130mm 厚さ18mm 重さ 305g 208ページ 並製 価格 1,800円+税 ISBN978-4-8038-0404-1 紹介 渋谷ホームレス殺人事件から丸2年。 いま問いかける〈普通の人々〉の実相!気がついたらいつのまにかホームレスになっていた66歳の十和子さん。その十和子さんをなんとか助けようと孤軍奮闘する公務員の永山くん――日ごと酷さを増す社会のひずみに陥る〈普通の人々〉の実相を、元公務員作家が巧みなフィクションで描く! 著者プロフィール 春日いと(かすが いと) 埼玉県浦和市に生まれる。父親の転勤に伴い、千葉県、東京都、愛知県などで育つ。地方公務員となり、在職中に放送大学大学院修士課程修了。定年退職後、朝日カルチャーセンター立川教室にて「小説のレッスン」を受講する。
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ポルトレ 普及版
¥4,950
ポルトレ 普及版 上田 義彦 定価 4,500円+税 2022年6月8日発売 ISBN 9784803803990 CコードC0072 四六変型判 上製 縦180mm 横127mm 厚さ27mm 重さ 450g PUR製本/カバー装 トリプルトーン写真 131点 総ページ数312ページ ブックデザイン:原研哉+井上幸恵 紹介 20世紀末から今世紀はじめにかけて、写真家・上田義彦が月一回のペースで撮影した38人の肖像(ポルトレ)。 安岡章太郎、大野一雄、白川静、大島渚など昭和を生きた巨匠たちをとらえた写真が、時を超え、繊細なディテールをもって語りかけてくる――当時の編集担当だった弊社社主・大槻慎二による取材記も併録した〈読める写真集〉 本書に登場する人物 安岡章太郎/大野一雄/森山大道/白川静/大島渚/小川国夫/山本夏彦/丸元淑生/赤瀬川原平/島尾ミホ/山田風太郎/三浦哲郎/宇野亜喜良/東海林さだお/北杜夫/高崎武/吉増剛造/種村季弘/吉本隆明/高岡重蔵/津島佑子/井上洋治/加島祥造/吉行和子/嵐山光三郎/荒木経惟/南伸坊/内海隆一郎/辺見庸/細江英公/関頑亭/梁石日/丸山健二/車谷長吉/佐藤忠良/米倉斉加年/大野晋/城山三郎 著者プロフィール 上田 義彦 (ウエダ ヨシヒコ) 1957年、兵庫に生まれる。写真家。多摩美術大学教授。東京ADC賞、ニューヨークADC、日本写真家協会作家賞など、国内外の様々な賞を受賞。2011年にGallery916を主宰。代表作に、ネイティブアメリカンの聖なる森を捉えた『Quinault』(京都書院、1993)、「山海塾」を主宰する前衛舞踏家・天児牛大のポートレート集『AMAGATSU』(光琳社、1995)、自身の家族に寄り添うようにカメラを向けた『at Home』(リトルモア、2006)、生命の源をテーマにした『Materia』(求龍堂、2012)、30有余年の活動を集大成した『A Life with Camera』(羽鳥書店、2015)など。近著には、Quinault・屋久島・奈良春日大社の3つの原生林を撮り下ろした『FOREST 印象と記憶 1989-2017』(青幻舎、2018)、一枚の白い紙に落ちる光と影の記憶『68TH STREET』(ユナイテッドヴァガボンズ、2018)、『林檎の木』(赤々舎、2017)などがある。また、2021年に公開された、映画『椿の庭』は大きな反響を呼び、映画監督としての仕事も注目されている。
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Nさんの机で ものをめぐる文学的自叙伝
¥2,420
『Nさんの机で ものをめぐる文学的自叙伝』 佐伯 一麦 著 四六判 304ページ 仮フランス装 縦190mm 横134mm 厚さ19mm 重さ 314g 定価 2,200円+税 ISBN978-4-8038-0397-6 CコードC0095 【紹介】 作家生活30年目にして初めて持ったオーダーメイドの机。 山形の家具職人・Nさんの手になる机に向かい、 振り返る文学的半生――当代きっての私小説作家が ものの記憶にからめて綴った滋味あふれるエッセイ! 装画/挿絵 オーライタロー 【目次】 机 筆記具 ワープロとパソコン 電鍵 流行歌 煙草 スーツケース 酒 グロッグ ウィスキー 日本酒 ビール その他の酒 お灸 陶磁器 カメラ 刃物 マネキン 林檎 梨 無花果 蜜柑 ジャケット 革ジャン ビニジャン 机の上の小物たち 眼鏡 靴 作務衣 辞書 図鑑 カレンダー コーヒーメーカー 茶筒 点滴 煎餅 オーディオ 鳥のバッジ チーズスライサー 印伝 マンホール 庭木 椿 山法師 山篩 山椒 合歓 枇杷 ドクダミ チーゼルと時計草 象の栓抜き 藍染の暖簾 手のひらの鉛筆の芯 ピークフローメーター 風呂敷 畳 手紙 鞄とリュック マフラーとセーター 椅子 あとがき 著者プロフィール 佐伯一麦(さえき かずみ) 1959年、仙台市生まれ。仙台第一高校卒。雑誌記者、電気工など様々な職に就きながら、84年、「木を接ぐ」で海燕新人文学賞を受賞する。90年、『ショート・サーキット』で野間文芸新人賞、91年、『ア・ルース・ボーイ』で三島賞、97年、『遠き山に日は落ちて』で木山捷平賞、2004年、『鉄塔家族』で大佛賞、07年、『ノルゲ Norge』で野間文芸賞、14年、『還れぬ家』で毎日芸術賞、『渡良瀬』で伊藤整賞をそれぞれ受賞する。ほか著書多数。近著に『アスベストス』がある。
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都市残酷
¥3,080
ワリス・ノカン(著) 下村 作次郎(訳) 四六判 304ページ 上製 価格 2,800円+税 ISBN978-4-8038-0393-8 CコードC0197 2022年3月17日発売 紹介 山で生きてきた。国家など不要だった。都市の残酷に呑みこまれても、猟人の魂は生き延びる。記憶はいつも創造と壊滅の間でつなわたり。だから物語は書かれなくてはならない。 ワリス・ノカンの文章が、全球化社会に対する抵抗の線を引く。―― 管啓次郎 台湾原住民文学の旗手が描く、都市化された台湾の悲しみ。原住民の誇らしい魂が、都市化の波に呑まれ悲鳴を上げる台湾の現実。真の台湾を知るには避けて通ることのできない作品集。 目次 序 日本の読者の皆さんに ワリス・ノカン 作品舞台地図/凡例 第一部──記憶柔和 弔い 最初の狩猟 長い年月のあとのある夕暮れ タロコ風雲録 悲しい一日 独裁者の涙 野ゆりの秘密 女王の蔑視 失われたジグソーパズル 死神がいつも影のごとく寄りそう 第二部──都市残酷 奥の手 中秋の前 夜の行動 タクシー 小さなバス停の冬 この、もの悲しい雨 希洛の一日 銅像が引きおこした災い 私の小説「先生の休日」 ムハイス コウモリと厚唇の愉快な時間 第三部──山野漂泊 虹を見たか タイワンマス 人と離れてひとり暮らす叛逆者、ビハオ・グラス 父 初出一覧 訳者あとがき 下村作次郎 著者プロフィール ワリス・ノカン(瓦歴斯・諾幹、Walis Nokan) 1961年、台湾台中県和平郷ミフ部落(現、自由村雙崎社区)生まれ。タイヤル族で、パイ・ペイノフ群に属する。最初、柳翱のペンネームで散文集『永遠の部落』を出す。1990年代になって、雑誌『猟人文化』の発行や「台湾原住民人文研究センター」の活動に従事する。 著作は詩集、散文集、小説集、評論集などさまざまなジャンルにおよび、 文学賞の受賞も多数ある。 下村作次郎(しもむら さくじろう) 1949年、和歌山県新宮市生まれ。天理大学名誉教授。2020年2月から7月まで、国立清華大学台湾文学研究所客員教授。著書に『文学で読む台湾』、『台湾文学の発掘と探究』、監訳『悲情の山地』(以上、田畑書店)。翻訳・編集『台湾原住民文学選』全九巻(2012年、第一等原住民族専業奨受賞)、孫大川著『台湾エスニックマイノリティ文学論』、シャマン・ラポガン著『空の目』、『大海に生きる夢』(2018年、第5回鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞)(以上、草風館)、陳芳明著・共訳『台湾新文学史』上・下、陳耀昌著『フォルモサに咲く花』(以上、東方書店)など。2021年11月、台湾文学貢献奨受賞。
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水上勉社会派短篇小説集 不知火海沿岸
¥2,420
新書判 縦178mm 横110mm 厚さ20mm 仮フランス装 価格 2,200円+税 ISBN978-4-8038-0391-4 CコードC0093 初版年2021年11月24日発売 紹介 膨大な文業のなかに埋もれていた「社会派」短篇の名編を発掘。 高度成長期に隠された人間の悲哀を描く傑作選の第2弾。 名作『海の牙』の原形となった表題作ほか、「真夏の葬列」「黒い穽」「消えた週末」など、全集・単行本未収録作を含む。 吉村萬壱氏による序文、石牟礼道子氏のエッセイも収録する。 目次 刊行にあたって 大木志門 序 薄明りの文学 吉村萬壱 不知火海沿岸 真夏の葬列 黒い箱 消えた週末 片眼 真福寺の階段 渦の片隅で 前の世のための仮言葉――えぐれた風景の中から 石牟礼道子 解説 高橋孝次 著者プロフィール 水上 勉 (ミズカミ ツトム) 少年時代に禅寺の侍者を体験する。立命館大学文学部中退。戦後、宇野浩二に師事する。1959(昭和34)年『霧と影』を発表し本格的な作家活動に入る。1960年『海の牙』で探偵作家クラブ賞、1961年『雁の寺』で直木賞、1971年『宇野浩二伝』で菊池寛賞、1975年『一休』で谷崎賞、1977年『寺泊』で川端賞、1983年『良寛』で毎日芸術賞を受賞する。『金閣炎上』『ブンナよ、木からおりてこい』『土を喰う日々』など著書多数。2004(平成16)年9月永眠。
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水上勉社会派短篇小説集 無縁の花
¥2,200
新書判 仮フランス装 縦178mm 横110mm 厚さ20mm ISBN:9784803803907 Cコード:C0093 価格 2,000円+税 □続巻 11月24日発売『水上勉社会派短篇小説集 不知火海岸』 【紹介】 水上勉は時代と土地から逃げおおせた人を書かない。搾取する側にまわる人を書かない。――角田光代 膨大な文業のなかに埋もれていた「社会派」短篇の名編を発掘。 高度成長期に隠された人間の悲哀を描いた名品の数々。 全集・単行本未収録作を含む社会派短編小説傑作選、第一弾! 巻末には詳細な解説と、野口冨士男の水上勉論「慕情と風土」を収録。 【目次】 刊行にあたって 大木志門 序 時代と場所と水上勉 角田光代 雪の下 西陣の蝶 無縁の花 崖 宇治黄檗山 うつぼの筐舟 奥能登の塗師 真徳院の火 慕情と風土 野口冨士男 解説 掛野剛史 著者プロフィール 水上 勉(著) 少年時代に禅寺の侍者を体験する。立命館大学文学部中退。戦後、宇野浩二に師事する。1959(昭和34)年『霧と影』を発表し本格的な作家活動に入る。1960年『海の牙』で探偵作家クラブ賞、1961年『雁の寺』で直木賞、1971年『宇野浩二伝』で菊池寛賞、1975年『一休』で谷崎賞、1977年『寺泊』で川端賞、1983年『良寛』で毎日芸術賞を受賞する。『金閣炎上』『ブンナよ、木からおりてこい』『土を喰う日々』など著書多数。2004(平成16)年9月永眠。
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小川洋子のつくり方
¥2,200
田畑書店編集部 編 A5判変型 縦200mm 横148mm 厚さ17mm 248ページ 並製 重さ 327g 価格 2,200円(税込) ISBN978-4-8038-0386-0 C0095 2021年8月6日発売 紹介 世界に認められる小川洋子の文学はどのようにつくられてきたか――全米図書賞、ブッカー賞国際部門など世界的に権威のある賞の最終候補に軒並み上がる小川洋子の文学。 海外での小川文学の受容のされ方から、デビューから三十年以上にわたる創作の秘密と、その全貌を紹介する。 また、巻頭には昨年8月にニューヨーク・タイムズ誌に掲載されたエッセイ、ヒロシマ・ナガサキ、オリンピックなど今の日本にとって重要なテーマを名文で描いた「死者の声を運ぶ小舟」を原文+英語訳で収録する。 目次 第1章 死者の声を運ぶ小舟 死者の声を運ぶ小舟 小川洋子 How We Retain the Memory of Japan’s Atomic Bombings:Books (Written by Yoko Ogawa / Translated by Stephen Snyder ) 第2章 世界は小川洋子の文学をどう受容したか 世界のジャーナリズムが注目した小川洋子の文学 田畑書店編集部 海外で出版された小川洋子の作品たち 第3章 フランス語圏の小川洋子 ブリュッセル (en Passa Porta) パリ (en La Maison de la Poesie) トゥルーズ (en Librairie Ombres Blanches) 第4章 インタヴューズ 有限な盤上に広がる無限の宇宙〈インタヴュアー〉 堀江敏幸 なにかがあった。いまはない。〈インタヴュアー〉 千野帽子 第5章 小川洋子のつくり方 小説の生まれる場所 (於: 関西大学) 小説の不思議 (於: 大阪文学学校) 私が新人作家だった頃 (於: 大阪芸術大学) 第6章 全作品解説 神田法子 あとがき 小川洋子 プロフィール 小川洋子(おがわ ようこ) 1962年、岡山市生まれ。早稲田大学文学部第一文学部卒。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。91年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞、同年『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞を受賞。06年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞受賞。07年フランス芸術文化勲章シュバリエ受章。13年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。20年『小箱』で野間文芸賞を受賞。他に多数の小説、エッセイがある。
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ラガーマンとふたつの川
¥3,080
四六判 上製 340ページ 縦195mm 横135mm 厚さ24mm 重さ404g 本体価格 2,800円+税 紹介 明治生まれの元祖ラガーマン・倉山伊左男は、家業である日本橋の麻袋問屋を継いで、やり手のビジネスマンとして中国東北部などに出張を繰り返していた。 時は大東亜戦争の最中。現地で日本軍・731部隊を知った伊佐男は、そのあまりに非人道的な存在にショックを受け、脳溢血で倒れてしまう。 駆けつけた妻や部下に助けられて帰国、そこから倉山家にとっての真の戦後が始まった……著者の親族の実体験に材をとり、戦争の悲惨と真のスポーツマンシップの有りよう、また戦後を生き抜いた「ある家族の肖像」を描いた自伝的長編大河小説 目次 第一章 隅田川のほとりから 第二章 皇太子誕生、さらに誕生 第三章 好景気とともに 第四章 大連山縣通り 第五章 大東亞戰争 第六章 惜別 第七章 新社長として 第八章 スンガリーのほとり 第九章 ああ 我が社のマータイ 第十章 鴨緑江を越えて 第十一章 最後の連絡船 第十二章 鎌倉長谷の家 第十三章 敗戦 その八月 第十四章 冬の別れ 第十五章 和田塚の家 第十六章 芸術のため、とは 第十七章 日暮しの声遠く 第十八章 東京オリンピック 家系図と登場人物 あとがき 参考文献 ページ数 340 装丁 田畑書店装丁室 著者プロフィール 庵原 高子 1934年、東京市麹町区に生まれる。58年、「三田文学」に「降誕祭の手紙」を発表、翌年、同作が第40回芥川賞の候補作に選ばれる。同じく候補となった山川方夫氏と知り合い、以後師事する。61年、「三田文学」に「地上の草」を6回にわたって連載するも、その後、出産を機に家事に専念。91年、「三田文学」に作品を発表しはじめ、作家生活を復活させる。著書に『姉妹』(97年、小沢書店)、『表彰』(2005年、作品社)、『海の乳房』(2013年、作品社)、『庵原高子自選作品集 降誕祭の手紙/地上の草』(2018年、田畑書店)、『商人五吉池を見る』(2020年、田畑書店)がある。
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理系的
¥2,420
四六判 縦196mm 横133mm 厚さ20mm 重さ 352g 320ページ 仮フランス装 紹介 「生命」とは何か。生きるとは? ——生涯にわたって追い求めてきた根源的思考が、自由闊達な文章に結実し、読む者の胸にストレートに伝わってくる。30年の空白を埋める類い稀なるエッセイ集! 隅田川のほとりに生まれ育ち、その黒い流れに「生命の不思議」を見た著者が志した科学と小説の道——書いてきた日々も、書けなかった時も、長年の創作生活の合間合間に紡いできたエッセイの数々。その集積の果てに見えてきたのは、理系的であろうとするほど文学的になっていく〈素の自分〉だった! 目次 第一章 理系と文系のあいだで 科学への憧れ 文学と科学 細胞 最先端の瞬間 生命と小説 変 街の生き物 幕張メッセの月ロケット 虫の変身 第二章 生命の響きあい──立派に生きること 第三章 読むことと、書くこと 本の山をひとかじり 古事記の生命観 井伏さん讃歌 好きな作家 綺堂と半七 動物と植物――宮沢賢治について 小説の原石 第四章 ライフについて 時の流れ方 生と死について 誰かによって変容するスリル 林檎の花 植物の話 健康と死 夢と進路 父と本 両親のノート 小説を書き続けるのが最良の老後 猫と話す この研究を世界ではじめて君がやることになる 心残り――21世紀に持っていきたいもの 親からの頼まれごと 結婚の幸福 父娘の銀座 第五章 本棚と散歩道 運河/羽のある魚/ハードボイルド/私の本棚/辞書づくりのアルバイト/辞書をつくる人/再び、トビウオ/侵入者/ファーストコンタクト/またまた、猫/綺堂のリズム/江戸の距離感/JIS漢字のこと/植物のストレス/ふるさと/秋景色/きっかけ/ゴルファーの皆様へ 第六章 隅田川のほとりから 隅田川と私/上野と私/竹町とわたし/東京は梅雨/正月のこと/東京都現代美術館に遊ぶ/熱風/子供と夏/「たけくらべ」の見返り柳/花火/上野の夏の夜の生徒/東京スカイツリーのこと/御酉様と一葉とその他/出会い/二色の隅田川/隅田川暮らし/雨傘/父を思えば/十一月の隅田川/東京オリンピック/ねずみの抱負/美しい景色/緑の景色