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「蜘蛛の糸」芥川龍之介
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「蜘蛛の糸」芥川龍之介 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 極楽の蓮池のふちを散歩していた御釈迦様は、水晶のような池の水の底から真下にある地獄の底を垣間見た。そこには?陀多という男が蠢いていた。この男は悪党だったが、たった一ついいことをしていた。小さな蜘蛛の命を助けたのだ。その報いに地獄から救い出してやろうとしたお釈迦様は、極楽の蜘蛛の糸を手に取り、地獄の底にそっと下ろしたのだが……児童文学の名篇として歴代数多の教科書にも掲載された芥川文学屈指の寓話。(12頁・★1.5個)
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「もくねじ」海野十三
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「もくねじ」海野十三 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 〈大東亜戦争〉の〈国際放送機〉に使われることを夢見ていた「もくねじ」だったが、検査で欠陥が見つかってしまう。しかし、不良品に分別され嘆き悲しんでいた「もくねじ」にもやがて幸運が訪れる。話に夢中の若い工員によってよく確かめられないまま放送機に装着されてしまったのだ。ところが現場に到着したところで再び不運に見舞われ……戦時下における忠誠心と運命の皮肉に翻弄される様を「もくねじ」に託して描く異色作。(24頁・★3個)
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「尾形亀之助詩選」尾形亀之助
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「大きな戦争」が迫るなか、「なにもしない」生活を、華やかな技巧とはほど遠い詩行に写し取った亀之助。「最も小額の費用で生活して、それ以上に労役せぬこと??このことは、正しくないと君の言う現在の社会は、君が余分に費ひやした労力がそのまゝ君達から彼等と呼ばれる者のためになることにもあてはまる筈だ。」……〈彼等=社会の上位で搾取する者たち〉への抵抗を貫き、自ら餓死に近い死を選んだ伝説の詩人のエッセンスがここに!
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「沈黙と失語」石原吉郎
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 「沈黙と失語」石原吉郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) シベリアで八年に及ぶ収容所生活を送った詩人が、壮絶な体験から〈沈黙〉と〈失語〉について深い思索を巡らす。静寂が同時に轟音とも感じられるシベリア密林。一日は無限に長く一年は驚くほど短い。異常なものが徐々に日常的なものへ還元されて行くという異常のなか、平均化され無個性化されるほどに〈平和〉は訪れる。「言葉がむなしいのではない。言葉の主体がすでにむなしいのである」詩人の思考はまさに現代日本に生きる我々の胸をえぐる。(28頁・★3.5個)
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「カラスの味」太田靖久
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 「カラスの味」太田靖久 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 担任の女性教師、大垣先生に「カラス」というあだ名をつけられたおかげで、わたしは暗い中学生活を送った。活動的だががさつな性格の先生がわたしは嫌いだった。地元から離れた高校に進んでようやくしがらみから自由になったわたしは、ある日、恩師のお葬式に出るという父親に付き添って福岡を訪れる。そして父の友人が営むジビエレストランで初めて食べたカラスの肉に、なぜか大垣先生を思った??人生の複雑な味を巧妙に描く短篇。(12頁・★1.5個)
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「短いトンネルの先に」太田靖久
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 「短いトンネルの先に」太田靖久 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 大雨が降った翌日、小説家はコーヒーの粉を買いにぶらりと散歩に出た。桜並木の先の古い小学校の佇まいに、ふと郷里で通った小学校を思い出す。短いトンネルの先その小学校はあった。喫茶店の本棚で幸田文の『父・こんなこと』を読んでいるうちに創作の刺激を受けた小説家は、興奮醒めやらぬままでたらめに町を歩く。そこで見つけたトンネルの先には……短い紙幅のなかに、複雑に絡み合う小説家の生活と創作の関係を描いた短篇!(12頁・★1.5個)
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「煙草と悪魔」芥川龍之介
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 「煙草と悪魔」芥川龍之介 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 国内に本来なかった煙草という植物は、どういう経緯で日本にもたらされたか? この疑問に答える諸説の中から、天主教のバテレンが連れてきた伊留満(神弟)に化けた悪魔によるものとして描く。信者を悪の道に誘惑するつもりでいたが、信者があまりにも少ないのに肩透かしをくらった悪魔は、無聊を紛らわすため畑に煙草の種を撒いた。そして、すくすくと育った煙草を見た牛商人とある賭けをしたが……寓意とアイロニーに満ちた好篇。(20頁・★2.5個)
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「煙管」芥川龍之介
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 「煙管」芥川龍之介 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 加賀百万石の藩主、前田斉広の携える金無垢の煙管の豪奢さは、参勤で登城する江戸城の中でも噂の的だった。斉広にとっては愛玩の対象というより前田家の威厳を示さんがための煙管だったので、御数寄屋坊主、河内山宗俊の大胆な申し出に、気前の良さを示そうとまんまとせしめられてしまう。それを聞いたご用部屋の三人の役人は一計を案じ、斉広に銀の煙管を持たせることにしたが……権威と虚栄、物欲とその空しさを小気味良い筆致で描く好短篇。(20頁・★2.5個)
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「流れるプール」太田靖久
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 「流れるプール」太田靖久 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 夏休みの最後に「僕」の家族は母の故郷の新潟に引越すことになっているが、夏休みに入ってから母は時折帰ってこなくなったし、家では昼間でも寝ていることが多かった。そんなある日、父と妹と父の友人とで車に乗って動物園とプールに行った。なぜその人が一緒か分からなかったが、彼はとても親切だった。そして引越しの日、後からくるという父に見送られて、僕と妹と母は新幹線に乗った……僕は知っていた。父がもう来ないことを。(12頁・★1.5個)
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「嘘の顛末」太田靖久
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 「嘘の顛末」太田靖久 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 友達同士で入ったコンビニで空のポケットをまさぐり、お年玉を落としたと嘘をついたのは小学校五年の時。その嘘に付き合ってお金を探してくれた弓香は、なんと自動販売機の下から五百円玉を見つけたのだ。中学に進み髪を染めパーマをかけるようになった弓香とは疎遠になってしまったが、本当にあの五百円玉は落ちていたのだろうかという疑問は拭えなかった……時の流れの容赦なさに、イノセンスの苦味と尊さを感じさせる名短篇。(12頁・★1.5個)
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「空っぽの花器」岡本真帆
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 岡本真帆「空っぽの花器」 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 繋いでいた手を放して、私は一人になった。町のラーメン屋。もらった小説。一緒に観に行った映画。傘がなくて笑いながら走った土砂降りの道。思い出は日常の至るところに潜んでいて、その欠片に触れるたび、本当にこれでよかったんだろうかと不安が押し寄せる。だけど選んだことを間違いじゃなかったと思いたい。思えるように生きていきたい。この30首連作は、私のこれまでとこれからを見つめて編んだものです。(24頁・★3個)
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「無害老人計画」上坂あゆ美
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 「無害老人計画」 上坂あゆ美 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 認知症を患い、周囲に対して攻撃的になる祖父を目の当たりにし将来を案ずる〈わたし〉。「祖父のあの電話以来、自分が認知症になったら、わたしはいつの時代の自分を輝かしいものとして拠り所にするのだろうか、ということをよく考える。」こうして齢三十歳にしてわたしの「無害老人計画」はスタートした──第一歌集『老人ホームで死ぬほどモテたい』で大きな注目を集めた著者によるエッセイと、第一歌集発表後初の連作短歌!(28頁・★3.5個)
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「露月二百句(片上長閑 撰)」 石井露月
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 「露月二百句(片上長閑 撰)」 石井露月 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 正岡子規門下に、石井露月という俳人がいた。彼は実力に於いて碧梧桐、虛子、鳴雪らに肩を並べると言われながら、俳壇の中央に身を置くことなく、開業医として郷里秋田に留まり続けた。その句は余戯の域を超えているにもかかわらずあまりに顧みられていない。所謂俳壇史の陰に埋もれた存在として黙殺されがちな、俳人露月。本書では、彼の遺した句から注目すべき作を撰し、季別に配した。(48頁・★6個)
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「息子の長靴」 太田靖久
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「息子の長靴」 太田靖久 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 息子が生まれた日にアメリカに単身赴任した「私」は、世界中に蔓延した未知なる感染症も影響し、なかなか後任が決まらずに二年後にようやく帰国することができた。赴任地で学習した子育てのハウツウも無為のまま更新され、初めて対面するナマの息子。妻の助言を受けつつ、父親は初めて長靴を履いた息子と二人きりで近くの神社まで散歩に行くことに。読後、玄関に置かれた小さな長靴の緑色が鮮やかにまぶたに残る好短篇。(12頁・★1.5個)
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「父の自転車と母の赤い車」太田靖久
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 「父の自転車と母の赤い車」 太田靖久 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 〈私〉の父は運転免許がない。かわりにどこに行くにも自転車。その父の愛車に乗せてもらって出かけるのが、私は大好きだった。一方、母は真っ赤な自動車を乗り回して生命保険の営業に……「ポケットアンソロジー」のスタートにあたっての編集部の依頼に応え、「〈乗り物〉をテーマに編んだアンソロジーに、もし自分の短篇を加えるとすれば……」という想定のもと、「季刊 アンソロジスト」創刊号に書き下ろした、味のある短篇小説。(12頁・★1.5個)
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「小さき者へ」有島武郎
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 「小さき者へ」 有島武郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 母校、札幌農学校の英語教師として赴任した先で妻を結核で失った作家が、悲しみのなか残された三人の幼児たちに綴った励ましの言葉。自らの病を知って決して身近に子どもたちを寄せなかった母の強い意志と彼らへの愛。「私は自分の弱さに力を感じ始めた。私は仕事のできない所に仕事を見出した。……決して順風満帆とはいえない作家に大きな勇気と方向を示してくれた妻の死を語り、万人に贈る普遍的メッセージとなりえた名作。(24頁・★3個)
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「赤帯の話」梅崎春生
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 「赤帯の話」 梅崎春生 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「とにかく私たちは皆、一日中腹を減らしてばかりいた」。アムール河の支流のまた支流の、そのまた支流にある収容所に抑留されている「私」は虚弱者として氷上清掃班に廻された。それは冬の間凍結した河面から材木を掘り出して除去する仕事だった。私たち五人のグループを率いるイワノフというカンジマール(親方)は、服の上にいつも赤い帯を巻いていた。その「赤帯」は寡黙だがなぜか親しみが持てた……シベリア抑留兵とソ連兵の間の淡い友情を描く名篇。(28頁・★3.5個)
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「みちのく」岡本かの子
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 「みちのく」 岡本かの子 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 東北の城下町Sに講演に訪れた作家は、町の写真館に飾られた、大ようで豊かで何か異様な面立ちをした少年の写真に惹きつけられる。それは〈四郎馬鹿〉と呼ばれた、東北地方では有名な知恵遅れの少年の肖像だった。土地の人たちにその少年の生い立ち、殊に北国寄りのF町の呉服屋の娘、お蘭と四郎馬鹿との温かい交情と数奇な運命の話を聞いた作家は、まだ存命と思しいお蘭を探そうとする……みちのくの人情が身に染みる短篇。(20頁・★2.5個)
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「外科室」泉鏡花
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「外科室」 泉鏡花 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 紀伊國屋書店新宿店 梅崎実奈・選 紹介作品 語り手は画師。親友の医学士高峰に頼んで彼の執刀する手術を見学することに。外科室中央の手術台に横たわるのは貴船伯爵夫人。伯爵や親族らが見守るなか、いざ手術を始めようという段になって、夫人は麻酔剤を頑なに拒む。周囲の説得をも全く聞き入れぬその理由とは、意識を無くしてあらぬことを口走る自分がこわいから、とのことだった。心穏やかならぬ伯爵をよそに、高峰はメスを執った……生死の狭間で愛と恐怖が交錯する耽美の極北!(24頁・★3個)
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「歯車(上)」 芥川龍之介
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 「歯車(上)」 芥川龍之介 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 知人の結婚披露宴に列席するため、滞在中の避暑地から上京する「僕」。東海道の停車場で見かけたレエン・コオトの男が不穏な影を落とす。そして視界の隅に現れる半透明な歯車。結婚式のあとホテルに宿泊し小説を仕上げる予定だったが、姉からもたらされた義兄の轢死の報に接し、激しく動揺する。ドッペルゲンガーの怪、自らの罪深さに慄く「僕」に訪れる死の予感、視界の隅に廻る歯車……最晩年の錯乱した神経が産んだ自死をも予言した驚愕の短篇。(24頁・★3個)
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「歯車(下)」 芥川龍之介
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ポケットアンソロジー 作品リフィル 「歯車(下)」 芥川龍之介 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 知人の結婚披露宴に列席するため、滞在中の避暑地から上京する「僕」。東海道の停車場で見かけたレエン・コオトの男が不穏な影を落とす。そして視界の隅に現れる半透明な歯車。結婚式のあとホテルに宿泊し小説を仕上げる予定だったが、姉からもたらされた義兄の轢死の報に接し、激しく動揺する。ドッペルゲンガーの怪、自らの罪深さに慄く「僕」に訪れる死の予感、視界の隅に廻る歯車……最晩年の錯乱した神経が産んだ自死をも予言した驚愕の短篇。(32頁・★4個)
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「地獄変(上)」芥川龍之介
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「地獄変(上)」芥川龍之介 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 吝嗇で慳貪だが絵筆をとったら右に出る者はないと言われた画師・良秀は、絵のためならばどんな非道なことも厭わぬ男だった。がまた同時に、愛娘を溺愛する子煩悩な父親でもあった。その娘が仕える堀川の大殿様から地獄変の屏風絵を描けと申しつかった良秀は、常軌を逸した集中度で絵に向かったが、どうしても見なければ描けないものがある、と大殿にあることを申し出た……芸術至上主義を極限まで推し進めた不朽の名篇。(32頁・★4個)
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「地獄変(下)」 芥川龍之介
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「地獄変(下)」 芥川龍之介 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 吝嗇で慳貪だが絵筆をとったら右に出る者はないと言われた画師・良秀は、絵のためならばどんな非道なことも厭わぬ男だった。がまた同時に、愛娘を溺愛する子煩悩な父親でもあった。その娘が仕える堀川の大殿様から地獄変の屏風絵を描けと申しつかった良秀は、常軌を逸した集中度で絵に向かったが、どうしても見なければ描けないものがある、と大殿にあることを申し出た……芸術至上主義を極限まで推し進めた不朽の名篇。(36頁・★4.5個)
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「雨(下)」 織田作之助
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「雨(下)」 織田作之助 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 珠の肌と色香を持ったお君は、また働き者でもあったが、「私(あて)か、私はどうでもよろしおま」との口癖通りに流されるまま、不運な人生を歩み続けた。最初の夫である教師の軽部は一人息子の豹一を遺してぽくりと亡くなり、次に嫁いだ安二郎は高利貸で、夫婦間でも金を貸すほどの吝嗇家だった。境遇に向けた敵愾心と過剰な自意識を持つ豹一もまた儘ならぬ人生を歩むことに……著者自らが処女作と認め、のち『青春の逆説』へと発展する短篇。(24頁・★3個)