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田畑書店公式SHOP
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「辛夷の花」堀辰雄
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「辛夷の花」堀辰雄 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「春の奈良へいって、馬酔木の花ざかりを見ようとおもって、途中、木曽路をまわってきたら、おもいがけず吹雪にあいました。……」。東京を発ち、甲斐の山々を目に木曽福島に一泊。翌日、乗った中央西線の汽車の車窓に映る雪に覆われた木曾の風景。雪のまにまに咲く辛夷の花が、「僕」には見えない……。電車で木曾谷を通ったことのある者であれば、まるで目の前に風景が立ち現れるような、堀辰雄のみごとな描写です。初出は「婦人公論」(一九四三年)。(12頁・★1.5個)
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「身上話」森鴎外
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「身上話」森鴎外 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 千葉の大原海岸にある料理屋を兼ねた宿屋に逗留する学徒圭一は、どことなく色香の漂う宿の女中、花にしばしば手紙の代筆を頼まれていました。その花から手紙の宛先の旦那、辻村との因縁を聞き出しますが……会話体のなかに時代の様相や男女の機微を鮮やかに描きとめた名篇。大江健三郎との対談集『文学の淵を渡る』(新潮社)のなかで、古井由吉は「いわゆる日本の短篇のはじまり。日本の短篇の語り口がすでにここにある」と評しました。(20頁・★2.5個)
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「微笑(上)」 横光利一
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「微笑(上)」 横光利一 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 作家梶のもとに現れた、栖方という俳号を持つ青年科学者。彼が開発中だと話す殺人光線は、敗色濃厚の戦局を打開する希望の光となり得るものでした。どこか狂気をはらむ彼の微笑に惹かれる梶に、栖方は発狂しているという憲兵からの知らせが。そして敗戦。殺人光線を開発していた若き科学者が敗戦の報を聞いて狂死したという新聞記事を読んだ梶は、行方不明の栖方の死を確信しますが……狂気と正気のはざまをたゆたう横光利一の遺作。(上巻)(28頁・★3.5個)
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「微笑(下)」 横光利一
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「微笑(下)」 横光利一 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 作家梶のもとに現れた、栖方という俳号を持つ青年科学者。彼が開発中だと話す殺人光線は、敗色濃厚の戦局を打開する希望の光となり得るものでした。どこか狂気をはらむ彼の微笑に惹かれる梶に、栖方は発狂しているという憲兵からの知らせが。そして敗戦。殺人光線を開発していた若き科学者が敗戦の報を聞いて狂死したという新聞記事を読んだ梶は、行方不明の栖方の死を確信しますが……狂気と正気のはざまをたゆたう横光利一の遺作。(下巻)(36頁・★4.5個)
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「赤い蝋燭と人魚」 小川未明
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「赤い蝋燭と人魚」 小川未明 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 北方の冷たく暗い海に棲む人魚の妊婦は、人間の世界に憧憬を抱き、海岸の小さな町の老夫婦ふたりで蝋燭を商っている店の前に女児を産み落とした。老夫婦は、神様から授かった子どもと心得、人魚の娘と知りつつその子を育てることにした。長じた人魚は、せめてもの恩返しと蝋燭に絵を描くと、その蝋燭は海難から船人を守ってくれると、飛ぶように売れたが……人間の欲望とエゴが生む悲しい運命を幻影の世界に描く傑作童話。 (20頁・★2.5個)
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「父の死」 久米正雄
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「父の死」 久米正雄 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 長野県は上田。とある女学校が火事で燃えた。六角塔の階上に掲げてあった御真影もすっかり焼けてしまった。その責任を深く感じた同校の校長を務める父親は、書斎に籠ったまま思い詰め、とうとう腹に刃を立て、頚動脈を切って自ら果てた。その武士の志を継いだ潔さを褒め称える町中の人々、違和を憶えながら不思議な幸福にひたる私。そして……少年の頃の著者の切実な体験に根ざした名篇。(32頁・★4個)
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「西班牙犬の家」 佐藤春夫
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「西班牙犬の家」 佐藤春夫 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 愛犬フラテと散歩に出た〈私〉は、ずんずんと進むフラテの後に従って、未知なる雑木林の奥深くに足を踏み入れる。「この地方にこんな広い雑木林があろうとは」次第に好奇心に駆られた〈私〉は、やがて林の奥にぽつんと建った一軒の西洋風の家の前に出た。その家には主人はおらず、ただ一匹の真っ黒な西班牙犬がのっそりと横たわっていた……見慣れた田園の風景の中に、日常からふと遊離した幻想的な世界を描き出す傑作短篇小説。(20頁・★2.5個)
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「風博士」 坂口安吾
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「風博士」 坂口安吾 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 〈諸君は偉大なる風博士を御存知だろうか? ない。嗚呼〉——自殺を偽装した風博士殺人の容疑をかけられた主人公が、警察の取り調べに答える形を借り、風博士の遺書を引用しながら、蛸博士との確執を、大上段に構えたユーモラスな語り口で綴るナンセンス・コント。アテネ・フランセの仲間たちと出した同人誌「青い馬」に掲載。牧野信一から絶賛され、ファルス(笑劇)の精神を唱えて文壇へ登場するきっかけとなった作品。(16頁・★2個)
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「刺青」 谷崎潤一郎
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「刺青」 谷崎潤一郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) それはまだ人々が「愚か」という貴い徳を持っていた時代……光輝ある美女の肌に己れの魂を掘り込むことを宿願とした彫師・清吉は、深川の料亭前で駕籠の簾からこぼれる白い足を見て激しい憧れを抱く。一年と経たないうちに偶々その足の持ち主である娘に出会った清吉は、彼女を麻酔で眠らせて、その清浄な肌を自分の恋で彩るべく、巨大な女郎蜘蛛の絵を掘っていった──後年の谷崎作品に共通するモチーフが見事にあらわれた処女作。(16頁・★2個)
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「山月記」 中島敦
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「山月記」 中島敦 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 博学才穎、若くして世間に名を轟かせた李徴だが、官吏として仕えるを潔しとせず、ひたすら詩作に耽って世を厭うあまり、その肥大した自尊心ゆえ虎に身を変じてしまう。ある日、勅命を奉じて未明の山道をたどった官吏・ 袁修は、山中で人喰い虎に遭遇するが、その虎が隠れた叢のなかから、ふと聞き覚えのある声が。その声の持ち主こそ、わが友、李徴のものだった……時代を超えて読 みつがれる、中島敦の代表作。(16頁・★2個)
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水上勉社会派短篇小説集 不知火海沿岸
¥2,420
新書判 縦178mm 横110mm 厚さ20mm 仮フランス装 価格 2,200円+税 ISBN978-4-8038-0391-4 CコードC0093 初版年2021年11月24日発売 紹介 膨大な文業のなかに埋もれていた「社会派」短篇の名編を発掘。 高度成長期に隠された人間の悲哀を描く傑作選の第2弾。 名作『海の牙』の原形となった表題作ほか、「真夏の葬列」「黒い穽」「消えた週末」など、全集・単行本未収録作を含む。 吉村萬壱氏による序文、石牟礼道子氏のエッセイも収録する。 目次 刊行にあたって 大木志門 序 薄明りの文学 吉村萬壱 不知火海沿岸 真夏の葬列 黒い箱 消えた週末 片眼 真福寺の階段 渦の片隅で 前の世のための仮言葉――えぐれた風景の中から 石牟礼道子 解説 高橋孝次 著者プロフィール 水上 勉 (ミズカミ ツトム) 少年時代に禅寺の侍者を体験する。立命館大学文学部中退。戦後、宇野浩二に師事する。1959(昭和34)年『霧と影』を発表し本格的な作家活動に入る。1960年『海の牙』で探偵作家クラブ賞、1961年『雁の寺』で直木賞、1971年『宇野浩二伝』で菊池寛賞、1975年『一休』で谷崎賞、1977年『寺泊』で川端賞、1983年『良寛』で毎日芸術賞を受賞する。『金閣炎上』『ブンナよ、木からおりてこい』『土を喰う日々』など著書多数。2004(平成16)年9月永眠。
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水上勉社会派短篇小説集 無縁の花
¥2,200
新書判 仮フランス装 縦178mm 横110mm 厚さ20mm ISBN:9784803803907 Cコード:C0093 価格 2,000円+税 □続巻 11月24日発売『水上勉社会派短篇小説集 不知火海岸』 【紹介】 水上勉は時代と土地から逃げおおせた人を書かない。搾取する側にまわる人を書かない。――角田光代 膨大な文業のなかに埋もれていた「社会派」短篇の名編を発掘。 高度成長期に隠された人間の悲哀を描いた名品の数々。 全集・単行本未収録作を含む社会派短編小説傑作選、第一弾! 巻末には詳細な解説と、野口冨士男の水上勉論「慕情と風土」を収録。 【目次】 刊行にあたって 大木志門 序 時代と場所と水上勉 角田光代 雪の下 西陣の蝶 無縁の花 崖 宇治黄檗山 うつぼの筐舟 奥能登の塗師 真徳院の火 慕情と風土 野口冨士男 解説 掛野剛史 著者プロフィール 水上 勉(著) 少年時代に禅寺の侍者を体験する。立命館大学文学部中退。戦後、宇野浩二に師事する。1959(昭和34)年『霧と影』を発表し本格的な作家活動に入る。1960年『海の牙』で探偵作家クラブ賞、1961年『雁の寺』で直木賞、1971年『宇野浩二伝』で菊池寛賞、1975年『一休』で谷崎賞、1977年『寺泊』で川端賞、1983年『良寛』で毎日芸術賞を受賞する。『金閣炎上』『ブンナよ、木からおりてこい』『土を喰う日々』など著書多数。2004(平成16)年9月永眠。
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小川洋子のつくり方
¥2,200
田畑書店編集部 編 A5判変型 縦200mm 横148mm 厚さ17mm 248ページ 並製 重さ 327g 価格 2,200円(税込) ISBN978-4-8038-0386-0 C0095 2021年8月6日発売 紹介 世界に認められる小川洋子の文学はどのようにつくられてきたか――全米図書賞、ブッカー賞国際部門など世界的に権威のある賞の最終候補に軒並み上がる小川洋子の文学。 海外での小川文学の受容のされ方から、デビューから三十年以上にわたる創作の秘密と、その全貌を紹介する。 また、巻頭には昨年8月にニューヨーク・タイムズ誌に掲載されたエッセイ、ヒロシマ・ナガサキ、オリンピックなど今の日本にとって重要なテーマを名文で描いた「死者の声を運ぶ小舟」を原文+英語訳で収録する。 目次 第1章 死者の声を運ぶ小舟 死者の声を運ぶ小舟 小川洋子 How We Retain the Memory of Japan’s Atomic Bombings:Books (Written by Yoko Ogawa / Translated by Stephen Snyder ) 第2章 世界は小川洋子の文学をどう受容したか 世界のジャーナリズムが注目した小川洋子の文学 田畑書店編集部 海外で出版された小川洋子の作品たち 第3章 フランス語圏の小川洋子 ブリュッセル (en Passa Porta) パリ (en La Maison de la Poesie) トゥルーズ (en Librairie Ombres Blanches) 第4章 インタヴューズ 有限な盤上に広がる無限の宇宙〈インタヴュアー〉 堀江敏幸 なにかがあった。いまはない。〈インタヴュアー〉 千野帽子 第5章 小川洋子のつくり方 小説の生まれる場所 (於: 関西大学) 小説の不思議 (於: 大阪文学学校) 私が新人作家だった頃 (於: 大阪芸術大学) 第6章 全作品解説 神田法子 あとがき 小川洋子 プロフィール 小川洋子(おがわ ようこ) 1962年、岡山市生まれ。早稲田大学文学部第一文学部卒。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。91年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞、同年『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞を受賞。06年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞受賞。07年フランス芸術文化勲章シュバリエ受章。13年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。20年『小箱』で野間文芸賞を受賞。他に多数の小説、エッセイがある。
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ラガーマンとふたつの川
¥3,080
四六判 上製 340ページ 縦195mm 横135mm 厚さ24mm 重さ404g 本体価格 2,800円+税 紹介 明治生まれの元祖ラガーマン・倉山伊左男は、家業である日本橋の麻袋問屋を継いで、やり手のビジネスマンとして中国東北部などに出張を繰り返していた。 時は大東亜戦争の最中。現地で日本軍・731部隊を知った伊佐男は、そのあまりに非人道的な存在にショックを受け、脳溢血で倒れてしまう。 駆けつけた妻や部下に助けられて帰国、そこから倉山家にとっての真の戦後が始まった……著者の親族の実体験に材をとり、戦争の悲惨と真のスポーツマンシップの有りよう、また戦後を生き抜いた「ある家族の肖像」を描いた自伝的長編大河小説 目次 第一章 隅田川のほとりから 第二章 皇太子誕生、さらに誕生 第三章 好景気とともに 第四章 大連山縣通り 第五章 大東亞戰争 第六章 惜別 第七章 新社長として 第八章 スンガリーのほとり 第九章 ああ 我が社のマータイ 第十章 鴨緑江を越えて 第十一章 最後の連絡船 第十二章 鎌倉長谷の家 第十三章 敗戦 その八月 第十四章 冬の別れ 第十五章 和田塚の家 第十六章 芸術のため、とは 第十七章 日暮しの声遠く 第十八章 東京オリンピック 家系図と登場人物 あとがき 参考文献 ページ数 340 装丁 田畑書店装丁室 著者プロフィール 庵原 高子 1934年、東京市麹町区に生まれる。58年、「三田文学」に「降誕祭の手紙」を発表、翌年、同作が第40回芥川賞の候補作に選ばれる。同じく候補となった山川方夫氏と知り合い、以後師事する。61年、「三田文学」に「地上の草」を6回にわたって連載するも、その後、出産を機に家事に専念。91年、「三田文学」に作品を発表しはじめ、作家生活を復活させる。著書に『姉妹』(97年、小沢書店)、『表彰』(2005年、作品社)、『海の乳房』(2013年、作品社)、『庵原高子自選作品集 降誕祭の手紙/地上の草』(2018年、田畑書店)、『商人五吉池を見る』(2020年、田畑書店)がある。
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理系的
¥2,420
四六判 縦196mm 横133mm 厚さ20mm 重さ 352g 320ページ 仮フランス装 紹介 「生命」とは何か。生きるとは? ——生涯にわたって追い求めてきた根源的思考が、自由闊達な文章に結実し、読む者の胸にストレートに伝わってくる。30年の空白を埋める類い稀なるエッセイ集! 隅田川のほとりに生まれ育ち、その黒い流れに「生命の不思議」を見た著者が志した科学と小説の道——書いてきた日々も、書けなかった時も、長年の創作生活の合間合間に紡いできたエッセイの数々。その集積の果てに見えてきたのは、理系的であろうとするほど文学的になっていく〈素の自分〉だった! 目次 第一章 理系と文系のあいだで 科学への憧れ 文学と科学 細胞 最先端の瞬間 生命と小説 変 街の生き物 幕張メッセの月ロケット 虫の変身 第二章 生命の響きあい──立派に生きること 第三章 読むことと、書くこと 本の山をひとかじり 古事記の生命観 井伏さん讃歌 好きな作家 綺堂と半七 動物と植物――宮沢賢治について 小説の原石 第四章 ライフについて 時の流れ方 生と死について 誰かによって変容するスリル 林檎の花 植物の話 健康と死 夢と進路 父と本 両親のノート 小説を書き続けるのが最良の老後 猫と話す この研究を世界ではじめて君がやることになる 心残り――21世紀に持っていきたいもの 親からの頼まれごと 結婚の幸福 父娘の銀座 第五章 本棚と散歩道 運河/羽のある魚/ハードボイルド/私の本棚/辞書づくりのアルバイト/辞書をつくる人/再び、トビウオ/侵入者/ファーストコンタクト/またまた、猫/綺堂のリズム/江戸の距離感/JIS漢字のこと/植物のストレス/ふるさと/秋景色/きっかけ/ゴルファーの皆様へ 第六章 隅田川のほとりから 隅田川と私/上野と私/竹町とわたし/東京は梅雨/正月のこと/東京都現代美術館に遊ぶ/熱風/子供と夏/「たけくらべ」の見返り柳/花火/上野の夏の夜の生徒/東京スカイツリーのこと/御酉様と一葉とその他/出会い/二色の隅田川/隅田川暮らし/雨傘/父を思えば/十一月の隅田川/東京オリンピック/ねずみの抱負/美しい景色/緑の景色
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巷の空
¥2,530
野口 冨士男(著) 新書判 縦170mm 横110mm 厚さ20mm 重さ 324g 472ページ 仮フランス装 価格 2,300円+税 ISBN978-4-8038-0385-3 2021年7月3日発売 紹介 明治も終りに近い頃、江戸川橋の鰻屋に生まれながら、家業を嫌い靴職人となった主人公・伊之吉が、独立して事業主となり、折り重なる浮き沈みに揉まれながら生き抜いて行く――関東大 震災前の“古きよき東京”を緻密に再現しながら、市井に生きる日本人の姿を丹念な心理描写をもって描く。私小説を志した著者が珍しくも客観小説に挑んだ大長編小説。太平洋戦時下、「不要不急の作」として紙が配給されずお蔵入りになり、戦後、刊行間近で出版社が倒産、不幸な運命をたどった“幻の名作”が、いま蘇る! 著者プロフィール 野口 冨士男 (ノグチ フジオ) 1911(明治44)年‐1993(平成5)年、小説家。東京生まれ。慶応大学予科中退後、1933年、文化学院卒業。紀伊國屋出版部に入社、「行動」の編集に携わり、徳田秋声の「あらくれ会」にかかわる。40年、最初の著書『風の系譜』を刊行し、船山馨、田宮虎彦らと「青年芸術派」を結成、時流への抵抗を意図する。44年、横須賀海兵団に応召。45年、ひどい栄養失調で復員。この体験がのちに『海軍日記』となる。65年、15年かけた『徳田秋聲傳』刊行。翌年、毎日芸術賞受賞。以後の活躍はめざましい。84年から88年まで日本文藝家協会理事長を務める。91年「野口冨士男自選小説全集」(全2巻河出書房新社)を出版。没後の94年、越谷市立図書館に野口冨士男文庫が開設された。主な著書に『わが荷風』(読売文学賞)、『かくてありけり』(読売文学賞)、『なぎの葉考』(川端康成文学賞)、『感触的昭和文壇史』(菊池寛賞)など。近刊に『なぎの葉考/しあわせ』(小学館)、『八木義徳 野口冨士男 往復書簡集』(田畑書店)、『海軍日記―最下級兵の記録』(中公文庫)。
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八木義德 野口冨士男 往復書簡集
¥6,600
平井 一麥・土合 弘光 ほか 編 A5判 上製 価格 6,600円(税込) 2021年6月3日発売 ISBN978-4-8038-0383-9 Cコード C0095 縦216mm x 横156mm x 束(厚み)33mm 重さ644g A5判 上製 紹介 〈切磋琢磨〉という言葉がこれほどに相応しい関係があるだろうか――同じ時代を生き、ともに「私小説」を極めようと志したふたりの文士が、四十年以上にもわたって互いの作品を評し合い、生活のこもごもを語り合った奇跡! これまでも、これからもおそらくはあり得ない、日本文学史上稀有な〈往復書簡集〉。 目次 はしがき 八木義德と野口冨士男 八木義德から野口冨士男へ 土俵ぎわの強さ/落日遠望――野口冨士男を悼む 野口冨士男から八木義德へ 八木義德/同年者の立場から 往復書簡 凡例 一九四九 ~ 一九五〇年 (昭和二四~二五年) 書簡1~2 一九五一 ~ 一九五五年 (昭和二六~三〇年) 書簡3~31 一九五六 ~ 一九六〇年 (昭和三二~三五年) 書簡40~88 一九六一 ~ 一九六五年 (昭和三六~四〇年) 書簡89~118 一九六六 ~ 一九七〇年 (昭和四一~四五年) 書簡119~153 一九七一 ~ 一九七五年 (昭和四六~五〇年) 書簡154~194 一九七六 ~ 一九八〇年 (昭和五一~五五年) 書簡195~243 一九八一 ~ 一九八五年 (昭和五六~六〇年) 書簡244~293 一九八六 ~ 一九九〇年 (昭和六一~平成二年) 書簡294~381 一九九一 ~ 一九九三年 (平成三~五年) 書簡382~438 註記 交友録 略年譜 解說 平山周吉 あとがき 前書きなど はしがき 八木義德と野口冨士男はともに一九一一(明治四四)年生まれですから、今年二○二一年は、生誕一一○年にあたります。 二人の関係は一九四八(昭和二三)年一月創刊の「文藝時代」の同人として識りあったことからはじまります。一九四九年七月「文藝時代」廃刊後、この同人のうち、特に仲のよかった者が舟橋聖一氏を中心に集まって「キアラの会」が結成され、二人は創設メンバーになりました。また、一九五〇(昭和二五)年から、芝木好子さんを中心に同世代者が集まった「えんの会」会員となりました。この二つの会を中心に日本文藝家協会、各種文学賞受賞式や会合などで顔を合わせると、終了後コーヒーを飲みながら、互いの作品の読後感や文壇について会話を交わし、やがて、これらを書簡でやりとりするようになり、二人の盟友関係は野口が死去するまで四十五年間にわたりました。 作家が、特に若手作家がベテラン作家に読後感を求めることは間々あることですし、受贈本の返礼に読後感を送ることも多くみられますが、八木・野口のように、お互いの作品の読後感を四〇年以上も続けるというケースは稀有だとおもいます。 二人の読後感は、本音をぶつけ合い、「創作のモメント」「創作のプロセス」「小説の技法」「私小説論」などにおよんで、手の内まで見せ合っていますし、助言もし合っています。時には、指摘されたことに対する反論もあり、互いにスランプに陥った時期には励まし合ってもいます。野口は、ナマ原稿の読後感を求めたことすらありました。 二人は純文学作家として矜持をもちつつ、たがいを尊重し合っていました。長い間には友情にひびが入りそうになったこともありましたが、盟友関係は続きました。 こうした読後感やその時々の心境までを伝え合った「往復書簡集」を残したい、と八木正子と平井一麥が願ったのが本書です。
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Editorship(エディターシップ) Vol.6(特別号)追悼・長谷川郁夫
¥1,980
Editorship(エディターシップ) Vol.6(特別号)追悼・長谷川郁夫 日本編集者学会 編 定価:1,980円(税込) ISBN978-4-8038-0384-6 C1000 体裁:B5判・並製 内容 伝説的な文芸出版社・小沢書店を興し、『美酒と革嚢——第一書房 長谷川巳之吉』や『吉田健一』『編集者 夏目漱石』など評伝の大著を残した文芸編集者・批評家の追悼号。 【追悼エッセイ】 吉増剛造「弱い神のひと 長谷川郁夫」 中沢けい「熱海に長谷川郁夫さんを見舞う」 高橋睦郎「長谷川郁夫さんのこと」 角田光代「愛について語る」 酒井忠康「長谷川郁夫氏の友情」 高橋真名子「煙草の匂い 長谷川郁夫氏追悼」 窪島誠一郎「長谷川郁夫さん」 千葉俊二「二度も生きたからな 長谷川郁夫氏追悼」 阿部重夫「十四番目のレクイエム」 萩岡良博「編集者 長谷川郁夫」 【長谷川郁夫論】 草光俊雄「編集者 長谷川郁夫」 鈴木一民「エディターシップってなに?」 【長谷川郁夫 単行本未収録原稿】 長谷川郁夫氏の遺稿をめぐって――内田魯庵ルネサンスふたたび(石塚純一) ○対談「魯庵から通じるいくつもの道」[×山口昌男 :司会=坪内佑三] ○「内田魯庵論」 ○「辻野久憲」 ○「水の女――「大菩薩峠」のお雪」 【小沢書店とは何だったのか】 ◎「小沢書店をめぐって」――長谷川郁夫インタビュー(聞き手=秋葉直哉) ◎透明な煙り――「小沢書店の影を求めて」「小沢書店をめぐって」を振り返って―― 秋葉直哉 ◎小沢書店全刊行目録 【小沢書店・わたしの一冊&追悼エッセイ】 鈴木力/小川光生/宮本建美/角りわ子/中嶋廣/小池三子男/佐谷眞木人/石塚純一/和気元/川上隆志/堀山和子/佐藤美奈子/籔享/田中敏雄/今須慎治/大槻慎二
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阿佐田哲也はこう読め!
¥1,540
阿佐田哲也はこう読め! 北上 次郎(著/文) B6変型判 縦164mm 横112mm 厚さ18mm 208ページ 仮フランス装 定価 1,400円+税 ISBN978-4-8038-0382-2CコードC0095 発売日2021年3月25日 【紹介】 没後32年を経ても愛読者が絶えない『麻雀放浪記』を始めとした阿佐田哲也の麻雀小説。その純然たるファンを自認する北上次郎氏が、積年の「阿佐田哲也論」を集大成! 『色川武大・阿佐田哲也電子全集』(小学館)の完結にともない、福武書店版全集と小学館版電子全 集に寄せた「解説」をまとめ、徹底的に加筆修正を施した《阿佐田哲也全作品・完全ガイド》! 【目次】 第一章 『麻雀放浪記』はこう読め! 生き方としての「麻雀放浪記」――「青春篇」「風雲篇」 〝苛立ち〟と〝優しさ〟――「激闘篇」「番外篇」 獣になって生きることを教える「無法者の書」 第二章 その後の「ドサ健」と「坊や哲」 驚きの『ドサ健ばくち地獄』 阿佐田哲也の模索 第三章 ヒリヒリする博打小説からユーモア・ピカレスクヘ 麻雀と手ホンビキとギャンブル小説 ユーモア・ピカレスクの誕生 移行期の博打小説 第四章 やみつきになる! 阿佐田哲也の短編小説 阿佐田哲也の短編小説から二十七篇を選ぶ 初期短編小説の面白さ 第五章 阿佐田哲也あれこれ 「色川武大・阿佐田哲也」の原点 阿佐田哲也の神髄、ここにあり! 阿佐田哲也と私 「元ネタ」と「創作」の秘密 阿佐田哲也の競馬小説 ギャンブルの日々と阿佐田哲也―「あとがき」にかえて 卷末資料 【著者プロフィール】 北上 次郎 (キタカミ ジロウ) 1946年生まれ。東京都出身。明治大学文学部卒。エッセイスト、文芸評論家、編集者。本名:目黒考二(めぐろ こうじ)。ジャンルごとに異なるペンネームを使用。私小説の目黒考二、ミステリー文学評論家の北上次郎、競馬評論家の藤代三郎(ふじしろ さぶろう)など。2000年まで「本の雑誌」の発行人を務める。 2011年「椎名誠 旅する文学館」の初代名誉館長に就任。主な著書に『書評稼業四十年』『冒険小説論』『息子たちよ』『余計者の系譜』『エンターテインメント作家ファイル108 国内編』『感情の法則』『記憶の放物線』などがある。
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色川武大という生き方
¥1,760
色川武大という生き方 田畑書店編集部編(編集) B6変型判 縦164mm 横112mm 厚さ20mm 244ページ 仮フランス装 価格 1,600円+税 ISBN978-4-8038-0381-5CコードC0095 発売日2021年3月25日 【紹介】 この人のことを語るとき、なぜ誰もが微笑むのだろう……没後32年三十三回忌を迎える今でも、作品とともになお人柄が偲ばれる色川武大氏。 没後30年、生誕90年を記念して編まれた『色川武大・阿佐田哲也電子全集』(小学館)の完結にあたり、福武書店版全集(1991~92年刊)の月報に寄せられた文章に、全集解題から立川談志、伊集院静を加えた33人の原稿を収録。その人間的魅力の粋が詰まった一冊! 巻末には資料として、色川武大年譜/小学館色川武大・阿佐田哲也電子全集巻構成を収録。 《執筆者》大原富枝/長部日出雄/種村季弘/田中小実昌/中山あい子/畑正憲/柳橋史/福地泡介/山田洋次/野口久光/夏堀正元/荻野いずみ/山田風太郎/高橋治/笠原淳/奥野健男/高井有一/立松和平/都筑道夫/黒川博行/田久保英夫/吉行和子/小林信彦/秋野不矩/小林恭二/江中直紀/山際素男/小田三月/津島佑子/佐伯一麦/井上ひさし/立川談志/伊集院静(掲載順) 【目次】 たぐい稀なやさしい人 大原富枝 色川さんのホスピタリティー 長部日出雄 分身の話 種村季弘 わからない 田中小実昌 ジャズに乗って風になった男 中山あい子 麻雀小説誕生の頃 柳橋史 大きな親友阿佐田哲也 畑正憲 麻雀新選組のこと 福地泡介 あの時代 山田洋次 ユニークな映画ファン、 音楽通だった色川さんの想い出 野口久光 鬱屈を抱えた男 夏堀正元 「百翁」色川武夫さんのこと 荻野いずみ 親切過労死 山田風太郎 重なる軌道 高橋治 石の会のころ 笠原淳 夢で鋭くうつつで懐しい 奥野健男 知らなかった事。 高井有一 世話の判定 立松和平 神楽坂をはさんで 都筑道夫 色川さんのこと 黒川博行 色川さんの微笑 田久保英夫 色川さんが好き 吉行和子 昭和モダニズムと色川武大 小林信彦 色川さんの思い出 秋野不矩 知恵の星の賢者 小林恭二 なんの因果か… 江中直紀 色川武大という男 山際素男 同人雑誌のころ 小田三月 さりげなく冷静、かつ正確に 津島佑子 『狂人日記』と私 佐伯一麦 フウ 井上ひさし 宝石のおもちゃ箱 立川談志 〝氣色〟 伊集院静 巻末資料=色川武大年譜 小学館色川武大・阿佐田哲也電子全集構成
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Heimatlos-故郷喪失‐ 森佳三作品集
¥2,750
著者:森 佳三 価格 2,500円+税 A4変型判 縦210mm 横297mm 厚さ5mm 32ページ ISBN978-4-8038-0380-8 CコードC0071 初版年月日2021年2月21日 【紹介】 日本のみならず、イタリアをはじめ海外でも高い評価を得ている造形作家の全貌をのぞむ、初の作品集。イタリア留学を機に、具象から抽象へ移った作家の道程が、研ぎ澄まされた言葉を添えられて、再現! 【著者プロフィール】 森 佳三 (モリ ケイゾウ) 1988年、多摩美術大学彫刻科卒業。1997年、フィレンツェ美術学院留学(イタリア政府給費留学生)。2012年、千葉大学社会文化科学研究科博士課程修了、博士(学術)取得
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短歌で読む宗教学
¥1,650
山口 拓夢(著) A5判 並製 縦210mm 横150mm 厚さ10mm 重さ 222g 140ページ ISBN978-4-8038-0379-2 CコードC0095 【紹介】 『ゴールデンカムイ』も『シャーマンキング』も『スターウォーズ』も『ロード・オブ・ザ・リング』も、ぜんぶ根っこはひとつ、ここにある! 神話や物語の創造と構造と読解の鍵を宗教学者エリアーデの諸著作からひもとき、短歌でまとめ易しく説く。「短歌で読む」シリーズ待望の最新作! 山口 拓夢 (ヤマグチ タクム) (著) 1966年東京生まれ。札幌大学女子短期大学部教授。西洋哲学・神話学研究者。学習院大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。哲学やギリシア神話のみならず、心理学、人類学、宗教学など文系分野全般に関心を抱き、深い知識を基に発信している。 著書『短歌で読む哲学史』『短歌で読むユング』田畑書店、主な訳書・共著:『ディオニュソスの詩学』チャールズ・シーガル著(翻訳)国文社『宗教への問い』第5巻「宗教の闇」(共著)岩波書店 『世界神話辞典』アーサー・コッテル著(共訳)柏書房 ほか。 【目次】 はじめに 第一章 宗教学とは何か 『太陽神と天空神』 信じるもののかたち 天空神 太陽神信仰 『豊饒と再生』 月と月の神秘 水と水のシンボル 聖なる石 大地、女性、実り 植物―再生の象徴と儀礼 『聖なる空間と時間』 農耕と実りの儀礼 聖なる空間寺院、宮殿、世界の中心 聖なる時間―永遠に原初に立ち帰る神話 神話のかたちと働き 象徴の構造 第二章 宗教学の展開 『永遠回帰の神話』――祖型と反復 「型の繰り返し」の文化 時間の更新 不幸と歴史 『シャーマニズム』 シャーマンの定義・特徴と成りかた 聖なる病、エクスタシーと幻覚め シャーマン能力の獲得引 シャーマニズムと宇宙論 第三章 宗教学の帰結 『生と再生』 参入儀礼の定義 原古社会の宗教的参入儀礼 参入の試練 部族儀礼と秘密宗教 個人的加入礼と秘密結社 まとめ 『聖と俗』 聖なる空間と世界の浄化 聖なる時間と神話 自然の神聖さと宇宙への宗教観 宗教的人間と現代人のこころ あとがき 参考文献
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歩く人 牧水紀行文撰
¥1,540
若山 牧水(著) 正津 勉(編) 文庫判 上製 縦156mm 横113mm 厚さ17mm 重さ 213g 288ページ 価格 1,400円+税 ISBN978-4-8038-0369-3 CコードC0195 【紹介】 人生というロング・トレイルを、歌いながら歩きとおした男がいた──旅と酒をこよなく愛した牧水の数多くの紀行文から、傑作のみを選りすぐったトラベルライティングの決定版! 牧水エッセイ・シリーズ3部作の完結編。 【目次】 序にかえて――耳川と美々津 Ⅰ 行かむかな 行かむかな 秋乱題(その一) 裾野より――緑葉兄へ 古駅 岬の端 津軽野 羽後酒田港 山寺 山上湖へ 水郷めぐり Ⅱ 水のまぼろし 渓のおもかげ 渓をおもう 或る旅と絵葉書 木枯紀行 鳳来寺紀行 北海道雑観 流るる水(その二) Ⅲ みなかみ紀行 みなかみ紀行 解説「歩く人・牧水」―― 註と歌 正津 勉 【著者プロフィール】 若山 牧水 (ワカヤマ ボクスイ) (著) 1885(明治18)年、宮崎県生まれ。延岡中学時代から作歌を始める。早稲田大学英文科卒。早大の同級生に北原白秋、土岐善麿らがいた。1910年刊の『別離』は実質的第一歌集で、その新鮮で浪漫的な作風が評価された。11年、創作社を興し、詩歌雑誌「創作」を主宰する。同年、歌人・太田水穂を頼って塩尻より上京していた太田喜志子と水穂宅にて知り合う。12年、友人であった石川啄木の臨終に立ち合う。同年、水穂が仲人となり喜志子と結婚。愛唱性に富んだリズミカルな作風に特徴があり、「白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけれ」など、人口に膾炙される歌が多い。また旅と自然を愛し『みなかみ紀行』などの随筆をのこした。27年、妻と共に朝鮮揮毫旅行に出発し、約2カ月間にわたって珍島や金剛山などを巡るが、体調を崩し帰国する。28年、日光浴による足の裏の火傷に加え、下痢・発熱を起こして全身衰弱。急性胃腸炎と肝硬変を併発し、自宅で死去。享年43歳。
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ラウンド・ミッドナイト 風の言葉[限定サイン本]
¥2,860
本商品は[限定サイン本]です 丸山健二著 価格 2,600円+税 仮フランス装/丸背 B6変型判 縦164mm 横114mm 厚さ20mm 重さ 206g ISBN978-4-8038-0377-8 Cコード 0095 丸山 健二 (マルヤマ ケンジ) 1943年、長野県飯山市に生れる。国立仙台電波高等学校(現在の国立仙台電波工業高等専門学校の前身)卒業後、東京の商社に勤務。66年『夏の流れ』で第23回文學界新人賞を受賞。同年、同作で芥川賞を受賞し作家活動に入る。68年に郷里の長野県に移住後、文壇とは一線を画した独自の創作活動を続ける。また、趣味で始めた作庭を自らの手による写真と文で構成した独自の表現世界も展開している。近年の作品に長編小説『我ら亡きあとに津波よ来たれ』(上・下)。『夢の夜から口笛の朝まで』『おはぐろとんぼ夜話』(全3巻)、エッセイ『人生なんてくそくらえ』、『生きることは闘うことだ』などがある。