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田畑書店公式SHOP
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「黄色い日日(上)」梅崎春生
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「黄色い日日(上)」 梅崎春生 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「彼」が身体に変調を来したのは、酒を飲んで深い水溜まりに落ちてからだった。強盗で捕まった友達の三元の身上を相談するために中山と飲んだ酒だった。また彼は隣人の発田とともに家主の白木から立ち退きを迫られていた。闘鶏を趣味とする白木。玩具屋で店番をする発田は狂ったようにシロフォンで草津節を叩き出す。そしてラジオから東京裁判の実況が……戦後間もない日常に潜む狂気を乾いた笑いとともに描く。(36頁・★4.5個)
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おいもとほん talkingbook・選「名作文学焼芋登場大全」
¥330
おいもとほん talkingbook・選「名作文学焼芋登場大全」 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 日本が近代化することで新たに生まれたテーマを、名作文学の多くは重層的に内包しています。「都市」「恋愛」「階層」「貧困」……、特に「幸福」はどのテーマとも通底するものです。「幸福」を希求する多くの庶民の傍らに、名作文学はあるものを置きました。それが焼芋です。温かさと味と、向けられた面差しと、名作文学に登場する焼芋からはどれも、ささやかながらかけがえのない「幸福」を感じることができます。(20頁・★2.5個)
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サンブックス浜田山・選「浜田山の話 他」片山廣子
¥330
「浜田山の話 他」片山廣子 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 歌人、翻訳家として名高い片山廣子が晩年を過ごした地、浜田山。終戦間際から十三年という短い歳月であったが、この地において歌人として活動(第二歌集『野に住みて』発刊)するとともに、エッセイストとして(『燈火節』で日本エッセイスト・クラブ賞受賞)、また翻訳家として多くの作品を残した。そこには貧苦に苦しめられながらも気高く充実した日々があった。この選集には多くの文業の中から特に浜田山について記したものを選び収録した。(45頁・★5.5個) 目次 浜田山にうつり住みて後(三首) 三本の棗 浜田山の話 大へび小へび たんざくの客 北極星
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Nさんの机で ものをめぐる文学的自叙伝
¥2,420
『Nさんの机で ものをめぐる文学的自叙伝』 佐伯 一麦 著 四六判 304ページ 仮フランス装 縦190mm 横134mm 厚さ19mm 重さ 314g 定価 2,200円+税 ISBN978-4-8038-0397-6 CコードC0095 【紹介】 作家生活30年目にして初めて持ったオーダーメイドの机。 山形の家具職人・Nさんの手になる机に向かい、 振り返る文学的半生――当代きっての私小説作家が ものの記憶にからめて綴った滋味あふれるエッセイ! 装画/挿絵 オーライタロー 【目次】 机 筆記具 ワープロとパソコン 電鍵 流行歌 煙草 スーツケース 酒 グロッグ ウィスキー 日本酒 ビール その他の酒 お灸 陶磁器 カメラ 刃物 マネキン 林檎 梨 無花果 蜜柑 ジャケット 革ジャン ビニジャン 机の上の小物たち 眼鏡 靴 作務衣 辞書 図鑑 カレンダー コーヒーメーカー 茶筒 点滴 煎餅 オーディオ 鳥のバッジ チーズスライサー 印伝 マンホール 庭木 椿 山法師 山篩 山椒 合歓 枇杷 ドクダミ チーゼルと時計草 象の栓抜き 藍染の暖簾 手のひらの鉛筆の芯 ピークフローメーター 風呂敷 畳 手紙 鞄とリュック マフラーとセーター 椅子 あとがき 著者プロフィール 佐伯一麦(さえき かずみ) 1959年、仙台市生まれ。仙台第一高校卒。雑誌記者、電気工など様々な職に就きながら、84年、「木を接ぐ」で海燕新人文学賞を受賞する。90年、『ショート・サーキット』で野間文芸新人賞、91年、『ア・ルース・ボーイ』で三島賞、97年、『遠き山に日は落ちて』で木山捷平賞、2004年、『鉄塔家族』で大佛賞、07年、『ノルゲ Norge』で野間文芸賞、14年、『還れぬ家』で毎日芸術賞、『渡良瀬』で伊藤整賞をそれぞれ受賞する。ほか著書多数。近著に『アスベストス』がある。
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「老人と鳩」小山清
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「老人と鳩」小山清 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 紀伊國屋書店新宿店 梅崎実奈・選 紹介作品 ある日突然倒れ、失語症に陥った老人は、野原のはずれにある部屋に引っ越した。ひとりだった。誰も音沙汰がなかった。近所の子供が飼っている鳩を見て可愛いと思った老人は、小刀で木彫の鳩を作った。部屋には黒猫がやってきて住みついた。やがて徒歩十分ほどのところに「ハト」という名のコーヒー屋ができた。そこの十七、八くらいの娘と老人の淡いまじわり……訥々と繰り出すことばが不思議に澄明な世界を生み出す私小説の佳品。(16頁・★2個)
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「落穂拾い」小山清
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「落穂拾い」小山清 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 荒川洋治・選《初めての世界》紹介作品 ポケットアンソロジースターターキット 荒川洋治・選『初めての世界』収録作品 自らを作家と認ずるがいまだ単行本一冊も出すに至らぬ、どこか寂しげな中年作家が、自炊しながらひとり住んでいる街、武蔵野市の片隅で出会う人びと。終戦後出稼ぎに行った夕張炭鉱でともに働いたF君の思い出。特に駅の近くで健気にひとりで古本屋を営む娘との淡くも温かな交流が心に残る。戦後七年が経ち、自らを励ましながら自分の道を歩み始める作家の、願望をも含めたさりげない筆致がえも言われぬ味わいを醸す短篇小説。(24頁・★3個)
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「美しい犬」林芙美子
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「美しい犬」 林芙美子 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 紀伊國屋書店新宿店 梅崎実奈・選 紹介作品 野尻湖畔の別荘地。飼い犬としてモオリスさんに可愛がられたペットだったが、戦争最中にモオリスさんがアメリカに帰ってしまってからは運命が変わった。モオリスさんが恋しいペットは別荘のポーチで暮らしていたが、食べ物もなく湖畔の野良犬となって痩せさらばえてしまった。やがて冬が来て、野尻湖のあたりは深い雪に閉ざされて、行き場のないペットは思い出がいっぱい詰まったモオリスさんの部屋で息絶えたのだが……感動の一篇。(12頁・★1.5個)
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「木馬は廻る」江戸川乱歩
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「木馬は廻る」 江戸川乱歩 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 紀伊國屋書店新宿店 梅崎実奈・選 紹介作品 「ガラガラ、ゴットン、ガラガラ、ゴットン、廻転木馬は廻るのだ。」昔は花形音楽師、やがて徒歩楽隊に落ちぶれたラッパ吹きが、木馬館に常雇いとなった。家に帰れば古女房と三人の子供たちとの生活に追われるラッパ吹きだったが、職場に通うのは心が弾んだ。なぜならば、そこにはお冬という十八歳の女車掌がいたから。決して器量よしとはいえないが、妙に気持ちをそそる彼女に気もそぞろ……乱歩にとっては異色だがなぜか心に残る小品。(24頁・★3個)
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「HUMAN LOST」太宰治
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「HUMAN LOST」太宰治 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 紀伊國屋書店新宿店 梅崎実奈・選 紹介作品 太宰二十五、六歳のころ、大学卒業危うく、都新聞の入社試験にも落ちて精神的に不安定な時期、盲腸の手術後の腹膜炎の痛みを抑えるため用いたパルビナールが癖になって、中毒に陥る。その治療のために様々な病院に入退院を繰り返した経験を反映して、板橋区の脳病院に入院した体験記を日記形式で綴った小説。精神が混乱を来し、支離滅裂になる直前の微妙なバランスを、一見書きなぐったように思わせながら、周到な構成も見られる。(44頁・★5.5個)
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「駈込み訴え」太宰治
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「駈込み訴え」 太宰治 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 紀伊國屋書店新宿店 梅崎実奈・選 紹介作品 裏切り者の代名詞ともなっている「イスカリオテのユダ」のひとり語りで、全編を一気に読ませる。「あの人」イエス・キリストに向ける愛憎、付き従う弟子たちに対する軽蔑……聖と俗、清と濁、無私とエゴなどアンビバレンツな感情と価値観を痒いところに手が届くようなレトリックで現わし、最後の着地に至るまで見事な「太宰節」が横溢する。妻・美知子に口述筆記で書き取らせたといわれる、太宰の才能が遺憾なく発揮された名作。(28頁・★3.5個)
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「やまなし」宮沢賢治
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「やまなし」 宮沢賢治 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 紀伊國屋書店新宿店 梅崎実奈・選 紹介作品 『クラムボンはわらったよ。』『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』──二疋の蟹のきょうだいとその父親の独特のリズムの会話、地の文のやわらかく象徴性に富む詩的な叙述で、幻想的な光景のなかに、光と闇、生と死、恐怖と歓喜など対照的なイメージを配置。詩歌の音調と童話の親しみやすさの底に深い思索を込めつつ、最後は「やまなし」の酒の芳香までただよってきそうなエンディング。宮沢賢治の豊饒な世界を代表する一篇。(12頁・★1.5個)
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「葉桜と魔笛」太宰治
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「葉桜と魔笛」 太宰治 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 書肆 海と夕焼 柳沼雄太・選 紹介作品 三十五年前、父と私と妹は三人で生きていた。妹は腎臓結核に罹り百日ももたないと言われていたにもかかわらず、健気に生きる姿を見て、私は気も狂いそうであった。妹の箪笥を整理していたある日、私はM・Tという男性からの手紙を見つけた。ふたりの恋愛は醜くすすんでいて、私は手紙を焼き捨てた。M・Tとして紡いだ手紙を読んだ妹は、自らの過去に初めて後悔する……。病気と恋愛に翻弄される姉妹が信じられるものとは。(16頁・★2個)
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「コブタンネ」金史良
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「コブタンネ」 金史良 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 荒川洋治・選《初めての世界》紹介作品 ポケットアンソロジースターターキット 荒川洋治・選『初めての世界』収録作品 北朝鮮生まれで東京帝国大学卒、日本語ですぐれた小説を書き芥川賞候補にももなった著者が、自らの子ども時代を題材に描いた一景。「私」の家の貸し部屋に住み、小さい時に遊んだ少し年上の女の子、コブタンネに抱いた甘酸っぱい思いと思春期にまで至らぬ少年のこそばゆいような気持ち。突然、引越して行ったコブタンネと、十四、五年経って思わぬ再会を果たす。時の経過と人懐かしさを一筆描きのような見事な筆致で描く佳品。(12頁・★1.5個)
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「不正確な生」高見順
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「不正確な生」 高見順 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 荒川洋治・選《初めての世界》紹介作品 ポケットアンソロジースターターキット 荒川洋治・選『初めての世界』収録作品 普通ならばゆうに定年を迎えている歳の作家の「わたし」が「若く見える」のは自他ともに認めるところ。外見だけでなく気も若く、屋台のおでん屋で出会った若い男女の真似をしてツイストを踊り、不覚にも脳貧血で意識を失ってしまう。一方、妻が看ている母は脳溢血で二度倒れるもいたって元気。その母から「実は」と生年が違っていることを告げられた「わたし」。自らの人生の曖昧さ、あやふやさを描いた文豪没前二年前の作品。(28頁・★3.5個)
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「ラ氏の笛」松永延造
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「ラ氏の笛」 松永延造 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 荒川洋治・選《初めての世界》紹介作品 ポケットアンソロジースターターキット 荒川洋治・選『初めての世界』収録作品 横浜の病院で臨時雇いとして働く主人公は、ラオチャンドというインド人の青年と出会う。だが、彼はやがて肺結核を患い入院してしまう。彼の世話をしながら、異国人の言葉と人生にひどく惹かれてく主人公。竹笛を巧みに吹くラ氏は、虚無とも平安ともつかぬ独特な人生観を主人公に語る。「どんな場合でも幸福は不幸を持ってあがなってきた」ーー異国人との心の交流と人種を超えて通底する人間の内奥を清明な言葉とイメージで描く。(24頁・★3個)
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「春は馬車に乗って」横光利一
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「春は馬車に乗って」 横光利一 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 荒川洋治・選《初めての世界》紹介作品 ポケットアンソロジースターターキット 荒川洋治・選『初めての世界』収録作品 四、五年にわたる実家との闘争を経て結ばれ、二年間姑との苦痛な月日を過ごしたのち、いま肺を病んで病床にある妻。どんな苦痛も、あらゆる感覚の眼を光らせて吟味しながら舐め尽くしてやろうと決意した著者が、透徹した筆致で書き写した二十三歳で逝った妻との濃密な日々――絶望的な状況の中、愛し尽くした夫婦でしか語り得ない、葛藤と撞着の一筋縄では行かない感情と、愛する者を失う悲しみを描く、横光利一初期の名篇!(28頁・★3.5個)
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「淫売婦」葉山嘉樹
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「淫売婦」 葉山嘉樹 本体価格:300円[ 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 荒川洋治・選《初めての世界》紹介作品 ポケットアンソロジースターターキット 荒川洋治・選『初めての世界』収録作品 大正期の横浜・南京街。欧州航路から下船した船乗の「私」に歩み寄る蛞蝓のような男たち。二分銭で「若え者がするだけの楽しみ」を買わないか、と連れていかれた、悪臭と闇に包まれたその奇妙な室の中には、汚穢にまみれた全裸の若い女が横たわっていた。「こいつらの手から彼女を救い出さねば」と義憤に駆られた私だったが、そこには思いもよらぬ真実が……驚愕のストーリーテリングで読者を誘うプロレタリア文学の歴史的名編!(36頁・★4.5個)
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「銅鑼」菅忠雄
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「銅鑼」 菅忠雄 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 荒川洋治・選《初めての世界》紹介作品 ポケットアンソロジースターターキット 荒川洋治・選『初めての世界』収録作品 大正期、東京の上流家庭。二十歳の長男を頭に八人の子供たちを抱えるこの家の生活は、銅鑼に始まり銅鑼に終わっていた。そこに訪れたのは主人が父親がわりに育てた甥、演劇にかぶれ家を出て俳優となった謙吉だった。今度の舞台のために銅鑼を借りたい、との謙吉の申し出を首肯した主人。一家で観劇して我が家の銅鑼の出世を喜んだが、果たして生活のリズムを失った家庭の行く末はいかに……物と心の豊かなつながりを描いた佳品。(12頁・★1.5個)
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「画の悲み」国木田独歩
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「画の悲み」 国木田独歩 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 荒川洋治・選《初めての世界》紹介作品 ポケットアンソロジースターターキット 荒川洋治・選『初めての世界』収録作品 全校一腕白で勉強もできる自分が、大好きな画を描くことに関しては、しのぎを削る競争者がいた。それが志村という少年だった。彼は温厚で人気もあり、一方、傲慢で教師からも生徒からも疎まれている自分にとってはまさに「目の上のたんこぶ」だった。その志村と、ふとしたことから大の仲良しになる。お互いを強く結びつけたのは、「画」だった。そして幾年かが経ち……大人の胸まで熱くさせる子どもの世界を巧みに描く独歩の真骨頂!(16頁・★2個)
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「丹下氏邸」井伏鱒二
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「丹下氏邸」 井伏 鱒二 本体価格:300円 [JANコード] 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 増田みず子・選 《人生に効く井伏鱒二(1)》 紹介作品 田舎で収入役を勤める丹下氏は、使用人の男衆エイを折檻した。性根をいれかえてやろうというのだ。サボっていた時と同じ格好を強要するという奇妙な折檻を傍から見ていた「私」は東京から陶器の窯跡を発掘しにきた好事家。問わず語りに始めた丹下氏の話から、エイの不憫な来歴を知る。夫婦だが同じ住いを持たないエイの妻、オタツは夫の折檻を知り方向先からやってくる……備後弁のユーモラスな語り口と見事な描写が冴える不朽の名作。(28頁・★3.5個)
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「夜ふけと梅の花」井伏鱒二
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「夜ふけと梅の花」 井伏 鱒二 本体価格:300円 [JANコード] 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 増田みず子・選 《人生に効く井伏鱒二(1)》 紹介作品 ある夜ふけのこと、空腹とくったくした気持を抱えた「私」はおでん屋でも探そうと牛込弁天町あたりを歩いていた。邸宅の高い塀の内側からは白く咲いた梅の花が覗いている。すると電柱の陰からいきなり男が現れた。男は顔にひどい傷を作っていた。何でも消防士にやられたという。だいぶ酩酊した男は事情も覚えておらず、ただ訴えてやると憤っている。最初はたまげたが、男を宥め、帰って店の主人に申し開きをするすべを授けた「私」に男は感謝して五円札を握らせるが……人間への深い洞察とユーモアに溢れた名作。(24頁・★3個)
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「鯉」井伏鱒二
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「鯉」 井伏 鱒二 本体価格:300円 [JANコード] 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 増田みず子・選 《人生に効く井伏鱒二(1)》 紹介作品 早大学予科で同級となり、物を書く上での大きな支えともなった親友・青木南八からもらった大きな真っ白い鯉の話。下宿の瓢箪池に放ったのだが、転居に際して行き先に困り……大きな展開もなく、淡々とした筆致ながら、そこはかとないユーモアと親友を失った悲しみ、拠り所のない自身の身上など、複雑な味と豊かな読後感を残す。「山椒魚」「屋根の上のサワン」とともに著者が文壇に認められるきっかけともなった井伏文学上、重要な短篇。(12頁・★1.5個)
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「山椒魚」井伏鱒二
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「山椒魚」 井伏 鱒二 本体価格:300円 [JANコード] 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 増田みず子・選 《人生に効く井伏鱒二(1)》 紹介作品 「山椒魚は悲しんだ。」で始まる、言わずと知れた井伏鱒二の代表作。自分の棲み家である岩屋から、二年出ぬうちに体が大きくなり、入口の穴から出られなくなった山椒魚。「いよいよ出られないというならば、俺にも相当な考えがあるんだ」……この絶対絶命の喜悲劇的状況のなかでの、擬人化された山椒魚の内心の声、周囲の生き物たちとの関係を絶妙に描き、短い紙幅にもかかわらず深い読後感を残す、井伏文学の最高峰。(16頁・★2個)
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「藪の中」芥川龍之介
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「藪の中」芥川龍之介 本体価格:300円[JANコード] 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 時は平安。山科の藪の中で男の死骸が見つかった。妻を連れ都から若狭に戻る途中だった。盗人に妻を手ごめにされ殺害されたと思しいが、その妻は消えていた――この惨事を、取り調べを受けた死骸の発見者、事件直前に夫婦を見かけた旅法師、妻の母、盗人の自白、清水寺での妻の懺悔、そして死霊となった男自身の言葉によって多面的に描く。見る角度によって異なる複数の真実、絡まり合う複雑怪奇な人間の性が見事に浮き彫りにされる。(24頁・★3個)