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「身投げ救助業」菊池寛
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「身投げ救助業」菊池寛 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「清水の舞台から飛び降りる」しかないほど自殺スポットが少ない京都でも、人は何らかの手立てで自殺をした。さらに琵琶湖からの疏水を整えてからは、そこが格好の場所となり、京都の自殺者はさらに増えた。中でも最もよき死に場所となっている木造の橋のわずか下流に一軒の小屋を構えた老婆がいた。自殺者の悲鳴が聞こえるとすわと物干し竿をかついで飛び出し、水面にそれを差し出す、いわば身投げ救助業を営んでいた老婆だったが、皮肉にも自らが身を投げざるを得ない運命に……。(16頁・★2個)
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「雨(下)」 織田作之助
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「雨(下)」 織田作之助 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 珠の肌と色香を持ったお君は、また働き者でもあったが、「私(あて)か、私はどうでもよろしおま」との口癖通りに流されるまま、不運な人生を歩み続けた。最初の夫である教師の軽部は一人息子の豹一を遺してぽくりと亡くなり、次に嫁いだ安二郎は高利貸で、夫婦間でも金を貸すほどの吝嗇家だった。境遇に向けた敵愾心と過剰な自意識を持つ豹一もまた儘ならぬ人生を歩むことに……著者自らが処女作と認め、のち『青春の逆説』へと発展する短篇。(24頁・★3個)
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「雨(上)」織田作之助
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「雨(上)」 織田作之助 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 珠の肌と色香を持ったお君は、また働き者でもあったが、「私(あて)か、私はどうでもよろしおま」との口癖通りに流されるまま、不運な人生を歩み続けた。最初の夫である教師の軽部は一人息子の豹一を遺してぽくりと亡くなり、次に嫁いだ安二郎は高利貸で、夫婦間でも金を貸すほどの吝嗇家だった。境遇に向けた敵愾心と過剰な自意識を持つ豹一もまた儘ならぬ人生を歩むことに……著者自らが処女作と認め、のち『青春の逆説』へと発展する短篇。(24頁・★3個)
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「夫婦善哉(下)」織田作之助
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「夫婦善哉(下)」 織田作之助 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 難波の一銭天麩羅屋の娘、蝶子は十七の歳に自ら望んで芸者になった。お転婆で声自慢、陽気な座敷には欠かせぬ蝶子だったが、やがて惟康柳吉という妻子持ちと良い仲になり、とうとう駆落ちをした。遊び人で甲斐性なし、苦労ばかりかける柳吉だったが、美味いものには目がなく、難波の町の本当に美味い店に蝶子を連れ回した。どんな酷いことをされても、無邪気に舌鼓を打つ柳吉が捨てられないのだった……著者の出世作にして代表作。(32頁・★4個)
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「夫婦善哉(上)」織田作之助
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「夫婦善哉(上)」 織田作之助 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 難波の一銭天麩羅屋の娘、蝶子は十七の歳に自ら望んで芸者になった。お転婆で声自慢、陽気な座敷には欠かせぬ蝶子だったが、やがて惟康柳吉という妻子持ちと良い仲になり、とうとう駆落ちをした。遊び人で甲斐性なし、苦労ばかりかける柳吉だったが、美味いものには目がなく、難波の町の本当に美味い店に蝶子を連れ回した。どんな酷いことをされても、無邪気に舌鼓を打つ柳吉が捨てられないのだった……著者の出世作にして代表作。(36頁・★4.5個)
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「競馬」織田作之助
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「競馬」 織田作之助 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 京都帝大出の中学の歴史教師、寺田は小心で律儀者。酒場遊びなど縁がなかったが、同僚に誘われて入ったカフェの一代という女給に入れ込み、ついに所帯を持つ。ところが一代に乳癌が見つかったことから一転。痛みにのたうち回りながら死んでいった一代の面影、とりわけ彼女が纏った男の影に嫉妬の情を抱きながら、ひょんなことから競馬にのめり込んでいく。迫真のレースに比肩する語り口で結末まで一気に読ませる織田作文学の白眉。(28頁・★3.5個)
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「いずこへ」 坂口安吾
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「いずこへ」 坂口安吾 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 工場街にひとり住む「私」のアパートに、女が通ってくるようになった。生活にかかわるものを置かない主義だった私の部屋に、女は鍋釜をはじめいろんな物を持ち込んだ。何も持たないことで、すべてを所有したかった私が一人の女を所有したの間違いだった。私の魂は廃頽し荒廃した。良人と別れて出てきた女は、私とどこか遠くの町で暮らしたがり、実際そうした。新居に押しかけて居座ってしまった女アキ、二人の女の間で自らの生き方に倦む私。デカダンスそのものを描き、堕ちきった先の世界を希求した作品。(44頁・★5.5個)
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「私は海を抱きしめていたい」坂口安吾
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「私は海を抱きしめていたい」坂口安吾 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) “神様の国へ行こうとしながら、いつも地獄の門を潜ってしまう”ような「私」だが、ある女と出会い、はじめて安心を得た。その女は貞操の観念をまったく持たず、しかも不感症だった。また女に劣らず貞操の観念に乏しい私は、もはや恋も出来ず、ただ淫蕩がゆえに透明で清潔な女の肉体をのみ愛した。あるとき女と温泉に行った私は、荒れ模様の海岸を散歩していて一瞬の幻覚にとらわれた。「女の無感動な、ただ柔軟な肉体よりも、もっと無慈悲な、もっと無感動なもっと柔軟な肉体」……それが海だった。(20頁・★2.5個)
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「老妓抄」 岡本かの子
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「老妓抄」 岡本かの子 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 憂鬱な顔をしながらも、いったん経験談を語り出したら聴く者を飽きさせない老妓は、財もでき遠縁の娘みち子を養女にして素朴な素人の生活に近づきたいと思い始めていた。ふと出入りの電気屋の青年柚木に目をかけ、生活の保証をして、好きな発明の研究に没頭させようとする。最初は有頂天だった柚木も、やがて老妓の衰えを知らぬ華麗な生命力に圧倒され、次第に飼い馴らされていく自分の生活に倦怠をおぼえていく。発表当時から世評高かった名作。(40頁・★5個)
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「鮨」 岡本かの子
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「鮨」 岡本かの子 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 東京の下町と山の手の境目にある「福ずし」の娘、ともよは常連の人気者。その中の一人、皆からは先生と呼ばれる五十がらみの紳士、湊とふと外で会ったともよは、鮨を食べることが「慰みになる」というそのわけを聞く。幼時、拒食気味だった湊を見るに見かねた母親が、ある日、酢飯を握った上に玉子焼や烏賊の切身をのせて並べた。すると不思議にそれらは湊の喉をするりと通って……読後、無性に鮨が食べたくなる不朽の名篇。(36頁・★4.5個)
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「ある心の風景」梶井基次郎
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「ある心の風景」 梶井基次郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 深夜の静けさのなか、眠れずに窓から夜の町をじっと見ている喬は、暗い考えに苦しめられていた。女から病を得ており、そのことが彼を悪い想念へと導いた。あの不幸な夜、博多から来たという女。屈託した気持を抱えたまま上った火の見。そして夜更けまで深夜の町を歩き回った。新京極のあたり、腰に下げた朝鮮の小さな鈴の音にわずかに希望を見出すが……複雑な心象風景を描いて創作の転機となった重要な作品。(20頁・★2.5個)
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「愛撫」梶井基次郎
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「愛撫」 梶井基次郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 猫の耳を「切符切り」でパチンとやってみたら、という空想から始まり、「猫の爪をみんな切ってしまったらいったい猫はどうなるだろう?」と問いかけるかと思えば、一転、夢に出てきた女性が猫の手を切り離して化粧道具に作り替え、その肉球で頬を撫でているというやや残酷でブラックな話に……ユーモラスな語り口で、愛猫家なら一度は抱いたことがあるだろう感覚を時代を超えて伝える散文の妙味。不思議に心に残る一篇。(12頁・★1.5個)
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「檸檬」梶井基次郎
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「檸檬」 梶井基次郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「えたいの知れない不吉な塊」を抱えて京都の町を徘徊し、「みすぼらしくて美しいもの」に強くひきつけられる。あるいは花火。あるいはびいどろのおはじきを口に入れたときの幽かな涼しい味。肺尖カタルに冒された熱っぽい身体を持て余しながら、寺町の果物店で見つけた檸檬。その檸檬を〝爆弾〟として丸善に置いて出てくる結末まで、鋭敏な神経と美意識がもたらす不安と昂揚を見事に作品に昇華させた永遠の名篇。(16頁・★2個)
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「神楽坂」矢田津世子
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「神楽坂」 矢田津世子 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 神楽坂で金貸し業を営む馬淵の爺さんは、夕飯を済ますと袋町の小間物屋に通う。そこの娘、お初を囲っているのだ。一方、病床で爺さんの帰りを待つお内儀さんはいよいよいけないらしい。娘のお初を馬淵家の後釜に据えたいおっ母さん。養子縁組みをはかりたい強欲な親戚たち。そして孤児院から引き取った女中の種は働き者でお内儀さんのお気に入り。そしていよいよお内儀が亡くなって……神楽坂を舞台に庶民の生活を繊細な筆で描く傑作。(48頁・★5.5個)
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「いちょうの実」 宮沢賢治
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「いちょうの実」 宮沢賢治 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 冷たくてカチカチに灼きをかけた鋼のような空に星が輝く夜、東の空はもう優しい桔梗の花びらのようにあやしい底光りをはじめている。いっせいに目をさましたいちょうの実たちの話し声がそこかしこから聞こえてくる。彼らにとって今日は旅立ちの日。お母さんの銀杏の木から初めて離れて、散り散りになる日。新しい世界への期待と不安に満ちた彼らのうえに突然光の束が黄金の矢のように降り注ぐ。美しいイメージに彩られた旅立ちのうた。(12頁・★1.5個)
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「名人伝」中島敦
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「名人伝」 中島敦 330円 (税込) 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 趙の邯鄲に住む紀昌という男の話。弓の名人を志した紀昌は名手・飛衛に弟子入りした。飛衛はまず瞬きをせざることを学べといい、二年かけてそれを会得した。紀昌が報告に行くと、次は視ることを学べと命ずる。やがて一匹の虱が馬のように見えるようになった紀昌に、飛衛は射術の奥義秘伝をあますところなく伝えた。もはや師から学ぶべき何ものもなくなった紀昌は、果たして名人になれたか? 思わぬ結末、見事なプロットに唸る名篇。(20頁・★2.5個)
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「メリイクリスマス」太宰治
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「メリイクリスマス」 太宰治 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 一年三ヶ月のあいだ津軽で暮らしたのち東京に戻ってきた「私」が、十二月はじめ、東京郊外の街である少女に遭遇する。「シズエ子ちゃん。」彼女は私にとって「唯一のひと」の一人娘だった。記憶の中の幼い娘は二十歳になっており、その好意を恋心と受け取る私は十分に自惚ていた。娘を促して親子の住む家に向かう私だったが、娘は次第に元気を失い……戦後間もない東京でのある邂逅を哀切とユーモアを交えて描いた好短篇。(20頁・★2.5個)
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「猿面冠者」太宰治
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「猿面冠者」 太宰治 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「彼には、いけない癖があって、筆をとるまえに、もうその小説に謂わばおしまいの磨きまでかけてしまうのである。」……小説家たらんとする作中の作者が、小説を書こうとするときに陥ってしまいがちな落とし穴を惜しげもなく開示し、自伝的要素と道化と諧謔という太宰文学の主要なテーマをも偏在させつつ、小説家・太宰治の創作の秘密をうかがわせる、貴重なメタフィクション・ノベル。(32頁・★4個)
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「姥捨」太宰治
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「姥捨」 太宰治 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) あやまった人を愛撫した妻と、妻をそこまで追いやった夫。二人は死ぬことでその結末をつけようと新宿の町をさまよう。睡眠薬を買い、映画を観て鮨を食べ、漫才を見ながら「この女を死なせてはならない」と思う夫だったが、もう勢いは止まらない。翌朝、かつて二人でひと夏を過ごした水上に向けて上野から旅立った。やさしい宿の老夫婦に別れを告げた二人は心中をはかるが……罪と無垢、コキュの苦しみと諧謔が渾然とした一篇。(36頁・★4.5個)
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「或旧友へ送る手記」芥川龍之介
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「或旧友へ送る手記」芥川龍之介 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「誰もまだ自殺者自身の心理をありのままに書いたものはない。(中略)僕は君に送る最後の手紙の中に、はっきりこの心理を伝えたいと思っている」この書き出しの通り、自死に至る心理を、方法を、場所を冷静な筆致で描出する。その主たる動機として記される「唯ぼんやりとした不安」とは何か? 死後に見つかり、久米正雄に宛てたとされるこの遺書で、自らの文学の総決算として自死を選んだ経緯を詳らかに語る。(12頁・★1.5個)
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「屋根の上のサワン」 井伏鱒二
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「屋根の上のサワン」 井伏鱒二 330円 (税込) 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 沼池の岸で鉄砲玉に傷ついた雁を見つけた「私」は家に連れ帰り治療を施した。すっかり快復した雁に私は「サワン」と名付け、風切羽根だけ短く切って庭で放し飼いをすることにした。サワンはとても人なつこく、私はそんなサワンを可愛がった。ある月の夜、サワンは屋根に上り叫ぶような鳴き声をたてた。伸ばした首の先には雁の群れが。そしてある日、サワンはいなくなった……渡り鳥との交歓を新鮮な文体で叙情豊かに描いた井伏文学の代表作のひとつ。(16頁・★2個)
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「黒い人と赤いそり」小川未明
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「黒い人と赤いそり」小川未明 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 冬になると海の上までが一面に氷で張りつめられてしまうような、はるか北の方の国。人々は黒い獣の毛皮を着て働いていた。すると足元の厚い氷が突然二つに割れ、三人だけを乗せた氷片はたちまちのうちに沖に流されてしまった。みんなが手をこまねいている中、五人の有志が五つの赤いそりに乗って探索に。けれどもその五人もいつまで経っても戻らない。無作為のまま彼らを見捨てたこの国には、やがて不思議な現象が……寓意に満ちたブラックなお話。(16頁・★2個)
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「狐」永井荷風
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「狐」 永井荷風 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 冬の書斎の午過ぎ、ツルゲーネフを読みながら、筆者は幼い頃の出来事に思いを馳せた。生家は父が小石川の古い空き屋敷を三軒買い占めて建てた家で、鬱蒼とした広い庭には不気味な一画があった。ある朝、父がそこで狐を見た。使用人や出入りの者総出で狐狩り。一方、女たちは狐の祟りに脅えた。その折には見つからなかった狐が、翌年二月に現れた。しかも筆者が可愛がっていた鶏が犠牲に……米仏留学から帰朝した筆者が初めて書いた短篇。(24頁・★3個)
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「黄色い日日(下)」梅崎春生
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「黄色い日日(下)」 梅崎春生 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「彼」が身体に変調を来したのは、酒を飲んで深い水溜まりに落ちてからだった。強盗で捕まった友達の三元の身上を相談するために中山と飲んだ酒だった。また彼は隣人の発田とともに家主の白木から立ち退きを迫られていた。闘鶏を趣味とする白木。玩具屋で店番をする発田は狂ったようにシロフォンで草津節を叩き出す。そしてラジオから東京裁判の実況が……戦後間もない日常に潜む狂気を乾いた笑いとともに描く。(28頁・★3.5個)