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ポルトレ 普及版
¥4,950
ポルトレ 普及版 上田 義彦 定価 4,500円+税 2022年6月8日発売 ISBN 9784803803990 CコードC0072 四六変型判 上製 縦180mm 横127mm 厚さ27mm 重さ 450g PUR製本/カバー装 トリプルトーン写真 131点 総ページ数312ページ ブックデザイン:原研哉+井上幸恵 紹介 20世紀末から今世紀はじめにかけて、写真家・上田義彦が月一回のペースで撮影した38人の肖像(ポルトレ)。 安岡章太郎、大野一雄、白川静、大島渚など昭和を生きた巨匠たちをとらえた写真が、時を超え、繊細なディテールをもって語りかけてくる――当時の編集担当だった弊社社主・大槻慎二による取材記も併録した〈読める写真集〉 本書に登場する人物 安岡章太郎/大野一雄/森山大道/白川静/大島渚/小川国夫/山本夏彦/丸元淑生/赤瀬川原平/島尾ミホ/山田風太郎/三浦哲郎/宇野亜喜良/東海林さだお/北杜夫/高崎武/吉増剛造/種村季弘/吉本隆明/高岡重蔵/津島佑子/井上洋治/加島祥造/吉行和子/嵐山光三郎/荒木経惟/南伸坊/内海隆一郎/辺見庸/細江英公/関頑亭/梁石日/丸山健二/車谷長吉/佐藤忠良/米倉斉加年/大野晋/城山三郎 著者プロフィール 上田 義彦 (ウエダ ヨシヒコ) 1957年、兵庫に生まれる。写真家。多摩美術大学教授。東京ADC賞、ニューヨークADC、日本写真家協会作家賞など、国内外の様々な賞を受賞。2011年にGallery916を主宰。代表作に、ネイティブアメリカンの聖なる森を捉えた『Quinault』(京都書院、1993)、「山海塾」を主宰する前衛舞踏家・天児牛大のポートレート集『AMAGATSU』(光琳社、1995)、自身の家族に寄り添うようにカメラを向けた『at Home』(リトルモア、2006)、生命の源をテーマにした『Materia』(求龍堂、2012)、30有余年の活動を集大成した『A Life with Camera』(羽鳥書店、2015)など。近著には、Quinault・屋久島・奈良春日大社の3つの原生林を撮り下ろした『FOREST 印象と記憶 1989-2017』(青幻舎、2018)、一枚の白い紙に落ちる光と影の記憶『68TH STREET』(ユナイテッドヴァガボンズ、2018)、『林檎の木』(赤々舎、2017)などがある。また、2021年に公開された、映画『椿の庭』は大きな反響を呼び、映画監督としての仕事も注目されている。
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「人間椅子」江戸川乱歩
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「人間椅子」 江戸川乱歩 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 外務書記官の妻にして美しい閨秀作家として名を馳せる佳子は、ファンレターに混じった原稿用紙の束に思わず読み耽ってしまう「奥様、」で始まるその文章はある椅子職人の手になるもので、前代未聞、驚愕の告白がなされていた。自分の作った椅子に人一人分が入る空洞を発見した男は、異常な行動と知りつつ、椅子に潜んで顧客のもとへ運ばれていく。そして読み進めるうちに、佳子は思わず座っている椅子を……乱歩初期のスリラー小説の傑作。(36頁・★4.5個)
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「桜の樹の下には」梶井基次郎
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「桜の樹の下には」 梶井基次郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 紀伊國屋書店新宿店 梅崎実奈・選 紹介作品 「桜の樹の下には屍体が埋まっている!/これは信じていいことなんだよ。」肺結核の湯治に訪れた湯河原で満開の桜を見た梶井。迫り来る〝死〟に直面しながら、生と死の対置を最高の〝美〟に止揚するレトリックの妙は、自死の予感を秘めてあやしく輝く。短い紙幅に梶井基次郎の文学のすべてが! 桜を見るたびにきっと思い出さざるを得ないほどの名篇。(8頁・★1個)
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「猫町」萩原朔太郎
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「猫町」 萩原朔太郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 紀伊國屋書店新宿店 梅崎実奈・選 紹介作品 北越地方のKという温泉に滞留していた「私」。避暑客も離れすっかり寂しくなった秋のある日、近くのU町まで徒歩で出かけた私は、途中の山道で迷ってしまった。慌てた私はとにかく人里へと山道を下り、麓の町に辿り着いたのだが、そこは果たして……「猫、猫、猫、猫、猫、猫、猫。どこを見ても猫ばかりだ」詩人のイマジネーションが創出した緊密で繊細な世界を、彫琢した文体で描いた寓話的でもあり哲学的でもある異色短篇。(24頁・★3個)
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「外科室」泉鏡花
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「外科室」 泉鏡花 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「アンソロジスト 2022年 春 創刊号」 紀伊國屋書店新宿店 梅崎実奈・選 紹介作品 語り手は画師。親友の医学士高峰に頼んで彼の執刀する手術を見学することに。外科室中央の手術台に横たわるのは貴船伯爵夫人。伯爵や親族らが見守るなか、いざ手術を始めようという段になって、夫人は麻酔剤を頑なに拒む。周囲の説得をも全く聞き入れぬその理由とは、意識を無くしてあらぬことを口走る自分がこわいから、とのことだった。心穏やかならぬ伯爵をよそに、高峰はメスを執った……生死の狭間で愛と恐怖が交錯する耽美の極北!(24頁・★3個)
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「プールのある家」 山本周五郎
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「プールのある家」 山本周五郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) この街にあるルンペンの父子がいた。父は妙にインテリでいつも息子相手に蘊蓄を垂れ、そして子はまた絶妙な相槌を打つのだった。ただ彼らの間に母の話題は決して出なかった。二人がもっぱら夢見心地で語り合うのは、彼らが建てるべき家の話だった。ある日、残飯のしめ鯖にあたったのか、子が死んだ。放心して街を歩く父親の頭に、死ぬ間際に呟いた子の声がこだまする。「プールを作ろうよ」。思わずむせぶ周五郎短篇の真骨頂。(40頁・★5個)
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「「青べか」を買った話」 山本周五郎
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「「青べか」を買った話」 山本周五郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 著者が若い頃に住んだ浦粕(現・浦安)を舞台に描いた自伝的名作『青べか物語』の冒頭に置かれた文章。「べか舟」とは海苔採りに使う平底舟のこと。この小説を象徴する「青いべか舟」を芳爺さんから買った経緯を綴っている。芳爺さんは街でいちばん大きな貝の缶詰工場の倉庫番をしている老人で、狡猾で欲深いがそれゆえにユーモラスで人情味溢れる庶民の姿を体現する人物。著者の巧妙な筆致は著者と対象との距離感をも絶妙に表している。(16頁・★2個)
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「へちまの木(上)」 山本周五郎
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「へちまの木(上)」 山本周五郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 旗本の三男坊で、養子に出されそうになり家出した房二郎は、小網町の居酒屋で知り合った瓦版記者、木内桜谷の口利きで同じ職場、文華堂の見習いとなった。まだ世間ずれする前の二十五歳。覚えた酒に泥酔もし、これも桜谷の紹介で入った下宿の美しい後家、おるいに何かと世話を焼かれる。文華堂の主人、西川文華は女房の尻に敷かれたふりをして金を引き出す吝嗇家。ある日、給料の値上げを訴えた桜谷は解雇されてしまう……江戸情緒の中に描かれた人間模様。(40頁・★5個)
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「へちまの木(下)」 山本周五郎
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「へちまの木(下)」 山本周五郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 旗本の三男坊で、養子に出されそうになり家出した房二郎は、小網町の居酒屋で知り合った瓦版記者、木内桜谷の口利きで同じ職場、文華堂の見習いとなった。まだ世間ずれする前の二十五歳。覚えた酒に泥酔もし、これも桜谷の紹介で入った下宿の美しい後家、おるいに何かと世話を焼かれる。文華堂の主人、西川文華は女房の尻に敷かれたふりをして金を引き出す吝嗇家。ある日、給料の値上げを訴えた桜谷は解雇されてしまう……江戸情緒の中に描かれた人間模様。(40頁・★5個)
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「落ち梅記(上)」 山本周五郎
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「落ち梅記(上)」 山本周五郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 幼友達の金之助と半三郎は双俊と呼ばれ、藩主の世子・亀之助の学友として江戸邸で起居を共にするほどだった。長じて異学を教えた咎で身をもち崩し酒と賭博に耽る半之助と、父が倒れた日から思わぬ風雪に巻き込まれる金之助。その二人の間にあって運命に翻弄される金之助の幼馴染・由利江。藩を大きく揺るがす政争の中で輝きを放つ愛と友情……大河小説に匹敵する読後感と期せずして涙を唆られるリリシズム。山本周五郎の魅力を十全に伝える名篇。(40頁・★5個)
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「落ち梅記(下)」 山本周五郎
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「落ち梅記(下)」 山本周五郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 幼友達の金之助と半三郎は双俊と呼ばれ、藩主の世子・亀之助の学友として江戸邸で起居を共にするほどだった。長じて異学を教えた咎で身をもち崩し酒と賭博に耽る半之助と、父が倒れた日から思わぬ風雪に巻き込まれる金之助。その二人の間にあって運命に翻弄される金之助の幼馴染・由利江。藩を大きく揺るがす政争の中で輝きを放つ愛と友情……大河小説に匹敵する読後感と期せずして涙を唆られるリリシズム。山本周五郎の魅力を十全に伝える名篇。(40頁・★5個)
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「わたくしです物語(上)」 山本周五郎
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「わたくしです物語(上)」 山本周五郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 美濃国多治見の国家老、知次茂平の目下の心配事は、後見人を自ら任じた親友の一粒種、考之助だった。気弱で取り柄はないがとにかく美男。それが災して見かけ倒しとの定評が藩内に立ってしまった。それを挽回すべく使番を任じ、所帯を持てば人も変わるはずと固辞するところどうにか婚約までは取り付けた次第。そんな考之助がある日を境に、何故か藩内で起きた粗相の咎をすべて自分で引受けるようになった……思わぬ展開に心が温まる傑作人情話。(32頁・★4個)
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「わたくしです物語(下)」 山本周五郎
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「わたくしです物語(下)」 山本周五郎 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 美濃国多治見の国家老、知次茂平の目下の心配事は、後見人を自ら任じた親友の一粒種、考之助だった。気弱で取り柄はないがとにかく美男。それが災して見かけ倒しとの定評が藩内に立ってしまった。それを挽回すべく使番を任じ、所帯を持てば人も変わるはずと固辞するところどうにか婚約までは取り付けた次第。そんな考之助がある日を境に、何故か藩内で起きた粗相の咎をすべて自分で引受けるようになった……思わぬ展開に心が温まる傑作人情話。(36頁・★4.5個)
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「鬼涙村」牧野信一
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「鬼涙村」牧野信一 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 鬼涙村にやってきた「私」は酒倉の二階で御面師と同居していたが、折しも村の音頭小唄大会を控えお面の製作で大忙しだった。この村には標的に決めた者をお面を被った集団が担ぎ上げ、胴上げをしながら村堺の川に投げ込むという奇習(リンチ)があった。どうやら今度は自分が狙われているらしいと気付いた私は、お面を配りに行った先の酒席でさまざまな噂を聞くが……残酷な村の様相と村人の滑稽さを活写する異色作。(36頁・★4.5個)
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「女生徒(上)」 太宰治
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「女生徒(上)」 太宰治 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「あさ、眼をさますときの気持は、面白い。」から「眠りに落ちるときの気持って、へんなものだ」まで。少女のさりげない一日をモノローグの文体で描く。父を病いで失い、姉は嫁いでいまは母親とふたり暮らし。学校のこと、友だちのこと社会のこと……大人になる一歩手前の女の子の無垢な内面を独特な語り口でなぞり、自意識とナルシシズム、理想と現実の間に揺れ動く心を絶妙に描いた太宰のフェミニンな資質が全篇にみなぎる傑作。(36頁・★4.5個)
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「女生徒(下)」 太宰治
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「女生徒(下)」 太宰治 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 「あさ、眼をさますときの気持は、面白い。」から「眠りに落ちるときの気持って、へんなものだ」まで。少女のさりげない一日をモノローグの文体で描く。父を病いで失い、姉は嫁いでいまは母親とふたり暮らし。学校のこと、友だちのこと社会のこと……大人になる一歩手前の女の子の無垢な内面を独特な語り口でなぞり、自意識とナルシシズム、理想と現実の間に揺れ動く心を絶妙に描いた太宰のフェミニンな資質が全篇にみなぎる傑作。(36頁・★4.5個)
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「歯車(上)」 芥川龍之介
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「歯車(上)」 芥川龍之介 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 知人の結婚披露宴に列席するため、滞在中の避暑地から上京する「僕」。東海道の停車場で見かけたレエン・コオトの男が不穏な影を落とす。そして視界の隅に現れる半透明な歯車。結婚式のあとホテルに宿泊し小説を仕上げる予定だったが、姉からもたらされた義兄の轢死の報に接し、激しく動揺する。ドッペルゲンガーの怪、自らの罪深さに慄く「僕」に訪れる死の予感、視界の隅に廻る歯車……最晩年の錯乱した神経が産んだ自死をも予言した驚愕の短篇。(24頁・★3個)
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「歯車(下)」 芥川龍之介
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「歯車(下)」 芥川龍之介 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 知人の結婚披露宴に列席するため、滞在中の避暑地から上京する「僕」。東海道の停車場で見かけたレエン・コオトの男が不穏な影を落とす。そして視界の隅に現れる半透明な歯車。結婚式のあとホテルに宿泊し小説を仕上げる予定だったが、姉からもたらされた義兄の轢死の報に接し、激しく動揺する。ドッペルゲンガーの怪、自らの罪深さに慄く「僕」に訪れる死の予感、視界の隅に廻る歯車……最晩年の錯乱した神経が産んだ自死をも予言した驚愕の短篇。(32頁・★4個)
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「地獄変(上)」芥川龍之介
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「地獄変(上)」芥川龍之介 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 吝嗇で慳貪だが絵筆をとったら右に出る者はないと言われた画師・良秀は、絵のためならばどんな非道なことも厭わぬ男だった。がまた同時に、愛娘を溺愛する子煩悩な父親でもあった。その娘が仕える堀川の大殿様から地獄変の屏風絵を描けと申しつかった良秀は、常軌を逸した集中度で絵に向かったが、どうしても見なければ描けないものがある、と大殿にあることを申し出た……芸術至上主義を極限まで推し進めた不朽の名篇。(32頁・★4個)
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「地獄変(下)」 芥川龍之介
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「地獄変(下)」 芥川龍之介 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 吝嗇で慳貪だが絵筆をとったら右に出る者はないと言われた画師・良秀は、絵のためならばどんな非道なことも厭わぬ男だった。がまた同時に、愛娘を溺愛する子煩悩な父親でもあった。その娘が仕える堀川の大殿様から地獄変の屏風絵を描けと申しつかった良秀は、常軌を逸した集中度で絵に向かったが、どうしても見なければ描けないものがある、と大殿にあることを申し出た……芸術至上主義を極限まで推し進めた不朽の名篇。(36頁・★4.5個)
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「かのように(下)」森鴎外
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「かのように(下)」 森鴎外 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 子爵の家に生まれた秀麿は学習院から文科大学に進み歴史科を卒業した。国史を自らの畢生の仕事と決めた秀麿は、卒業後ただちに洋行。三年後に帰国した秀麿は、誰にも打ち明けられない深い悩みを抱えていた。神話と歴史を切り離して考えない限り本当の国史は書けないが、それは「危険思想」とみされてしまう。それを避けるために「かのように」という立場を思いつくが……現代にも影を落とす日本の根本的問題を抉り出した問題作。(32頁・★4個)
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「かのように(上)」森鴎外
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「かのように(上)」 森鴎外 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 子爵の家に生まれた秀麿は学習院から文科大学に進み歴史科を卒業した。国史を自らの畢生の仕事と決めた秀麿は、卒業後ただちに洋行。三年後に帰国した秀麿は、誰にも打ち明けられない深い悩みを抱えていた。神話と歴史を切り離して考えない限り本当の国史は書けないが、それは「危険思想」とみされてしまう。それを避けるために「かのように」という立場を思いつくが……現代にも影を落とす日本の根本的問題を抉り出した問題作。(24頁・★3個)
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「入れ札」菊池寛
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「入れ札」菊池寛 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 上州岩鼻の代官を斬り殺し、関所を破って信州に逃げた国定忠治は、彼に付き従って生きのびた十一人の乾児(こぶん)を前に逡巡していた。果たしてこの先も彼ら全員を引き回していいものか。心のうちお目当ての三人はあったが、等しく忠誠を誓った他の者をうち捨てるわけにもいかない。そんな折、乾児のなかから「入れ札」という妙案が。皆が忠治の気持を忖度して投票する中、たった一人、最古参の九郎助の内心によこしまな考えが芽生え……集団と個人の間に働く人情の機微を巧みに描いた名篇。(24頁・★3個)
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「海の中にて」菊池寛
¥330
ポケットアンソロジー 作品リフィル 「海の中にて」菊池寛 本体価格:300円 判型:文庫判・スクラム製本(綴じなし) 北越のある町で小学校の教師をしていた敬吉はその町の芸者おくみと恋に落ちたが、ある晩おくみを宿直室に入れたかどで職を解かれてしまう。田舎の狭い世間では許すべからざる罪である。逃げるように上京する敬吉を見送りに来たおくみは、衝動的に電車に乗り込み、敬吉もそんなおくみを帰すわけにはいかなかった。東京での生活苦は予想をはるかに上回り、金銭的にも精神的にも追い詰められた二人は……心中のリアルな描写と極限状況での愛とエゴの葛藤を残酷なまでに読むものに突きつける驚愕の短篇。(24頁・★3個)